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A「…あ。」


学校に帳簿を忘れた。
…なんで持っていっているのかと不思議に思うかもしれないが、私は毎日学校でつけてるの。
そろばんがあるからね。
でも、あれがないと困るんだよね。

取りに行くか。

私は店を出た。

もう暗いけど、学校の近くは人も多いし、こんなところに鬼なんか出てこないはず。
それに、学校には先生が残ってるだろうし、大丈夫だろう。




と思った私が馬鹿だった。



  「こんなところ一人で歩くなんて馬鹿だよねぇ。」



気持ちの悪い鬼さんが目の前にいる。
はい。私は馬鹿です。
前回は偶然胡蝶さんに助けてもらったけど、今回もだなんて奇跡起こるわけないよね。


帳簿家でつけとけばよかった。






  「霞の呼吸…壱の型。」


  「垂天遠霞。」





鬼の首が斬れた。

聞いたことのある、安心する声。彼だ。

A「…時透君!」

時透 「A。」
 

そういえば、今日は任務って言ってたね。助かった。


A「時透君!ありが…。」

時透 「ねぇ、馬鹿なの?」


時透君にほっぺをつねられた。痛い痛い!


時透 「今暗いんだけど?鬼出るって分かんないの?僕がむやみに外出たらだめだよって言わないとできないの?危ないでしょ。鬼だって変な人だって君を狙ってるんだよ?Aに何かあったら…。」


時透君すごく心配してくれたんだ。嬉しい。


A「ありがとう時透君。」

時透 「もうやめてね。」


やっぱり時透君は優しい。


時透 「外に出てきたってことは、何かあったの?」

A「学校に忘れ物をね。」

時透 「そう。…僕も行くよ。」

A「え!?」


だって時透君、今日任務なんじゃ?


時透 「僕の任務先も、君の女学校なんだ。」

A「学校!?なんで!?」

時透 「君たちの学校、夜中に何人もの先生が食われてるんだよ。知らなかったの?」


知らなかった。そうか、だから今日先生が少なかったんだ。
…複雑だな。
あまり関わったことがない先生だと思うけど、私の友達はそうじゃない。
皆、これを聞いたら…。


校舎に着いた。
私は職員室で先生に教室の鍵をもらい、時透君のところへ駆け寄る。


時透 「いい?僕から離れないでね。」


そう言って手を握られた。



時透 「顔赤いけど、緊張してるの?」

A「…!?ま、まぁ…。」


でも、時透君も少し顔赤くない?

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作者名:照山紅葉 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年9月29日 23時

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