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数日後、汐音が1歳になった。
同時にAが死んで1年が経った。
汐音「ぱぁぱ！」
智「ジッとして」
言うことを聞かない汐音はヨチヨチしながらリビングを歩き回る。
追いかけて捕まえ、抱き上げたままソファに座り小さな足に靴下を履かせた。
ここまでで一苦労。
さらにこの足へ靴を履かせないといけない。
智「しぃ、」
汐音「ｷｬﾊﾊｯ、ぱぁぱ！」
玄関まで行くと俺の背中を追ってこっちに来る。
靴を履こうと座る時は、まだバランスが取れなくてケツから勢い良く着地する。
痛いのか、それだけで泣きそうになる。
汐音が好きな人形を目の前に持ってくとそれを抱きしめて必死に涙を堪えた。
「偉い偉い」の意味を込めて頭をポンポンと撫で、大人しくなった足に靴を履かせた。
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智「自分で歩く？」
汐音「や」
智「歩け」
汐音「んーっ！」
一人で外に出ようとすると駄々をこねる。
抱っこしろと玄関で暴れる。
智「…ったく、」
ぐずる汐音を抱き上げ、呼んだタクシーに乗り込んだ。
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到着した地点から汐音と手を繋いで歩く。
室内に建てられた墓。
担当者が24時間365日管理してる。
ここに、Aは眠ってる。
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汐音を抱き上げる。
不思議そうな顔をして、目の前の墓に手を伸ばす。
汐音「んぱ！ぱっ！」
智「ママが見てっから」
汐音「…？」
智「この中でねんねしてんの」
Aの死に顔も、Aの骨も何も見てない。
ここにいるのかさえ本当は疑ってる。
汐音「ん゛ーっ」
汐音をおろし、後ろから手を掴んで手のひらを合わせる。
智「ママに、“元気でやってるよ” って」
汐音「んぅ」
智「はい、よくできました」
飾られてる花は毎日取り替えられるらしい。
こんな狭い中に姿形を変えて眠ってるなんて
俺はさ、まだ受け入れてもないし受け入れる気もない。
汐音も1歳だぜ。
俺もお前に会えなくなって1年。
しんどかった。
慣れない子育て云々よりも、突然一人取り残されたことが。
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汐音「んぱ！」
汐音が足に抱きついてきてハッとする。
墓体をボーッとしながら見てた。
…帰るか。
誕生日会開いてやんねぇと。
悲しい日とめでたい日が重なるって難しい。
悲しんだらいいのか、喜んだらいいのか。
そして大きくなった汐音にAの命日を告げるべきか。
親の責任、重てぇわ。
選択を間違えたらこいつの将来まで響くかもしれない。
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チェリー(プロフ) - 汐音ちゃんがどんな風に育つのかがとっても気になります！この作品はお山のてっぺんから見させていただいていて、他にも、ふたまたさとしなども、本当に大好きな作品です！！また、ちおさんの作品まってます！長編作、お疲れさまでございました！！ (2018年3月10日 10時) (
レス) id: a0fb27e534 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - 完結おめでとうございます！！んもーーーーー、本当に！良かった！！の一言です笑 主人公が亡くなってしまってからの智くんの気持ちが痛いほど伝わる書き方、本当に素晴らしいなと思いました！夢で良かった。本当に。 (2018年3月10日 10時) (レス) id: a0fb27e534 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - うぴさん» 夢でした！夢の中で得た経験を現実世界でも発揮してくれると思います(^^) (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - ちはるさん» ファンだなんて…嬉しいお言葉をありがとうございます！今回の更新で完結となりました。最後まで読んで頂けると幸いです。 (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - すりおろし梨。さん» 智くん自身、未だに現実と夢の区別がつかなくなることもあるみたいですが…、夢というオチでした(^^) (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちお
| 作成日時：2017年12月30日 17時
