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寝室と廊下を遮るドア。
あの日病室から出て直帰し、そのままリビングで沈んだ。
以来寝室に足を踏み入れてない。
…怖い。
ここは想い出しか詰まってない。
写真も、ベッドも、枕も、何もかもあの日のまま。
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今のままでいいとは思わない。
でも何をすればいいのか分からない。
ドアを押す。
懐かしい景色が視界の中に飛び込んできた。
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数々の写真。
笑ってる。
俺のキスから逃げてる。
ちょっとぶぅたれてる。
全部昨日のことのように思い出せる。
まだまだ色濃い過去。
一生再現することのできない想い出。
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…なあ、なんで先に逝っちまったの。
…置いて逝くなよ。
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そっち楽しい？
イイ男いる？
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俺がパパ、ってさ、お前絶対そっちで笑ってんだろ。
出来っかな。
人を傷つけまくってきたんだぜ。
現にお前すら守れなかった。
子供も別に好きじゃない。
…なあ、これでもパパをやれって言う？
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お前なら言うか。
俺をパパにしたくて命投げ捨てたんだろ。
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勝手に逝きやがってさ…。
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ニコチン中毒の体がスッと軽くなる。
パンツのポッケに入れていた煙草も、気づけば消えていた。
智「…A、居んの？」
振り返っても誰もいるわけない。
でも、なんか、温かい。
智「…全然見えねぇよ」
居る気がする。
見えねぇし触れねぇけど。
智「…頼むからさ、出てきてくれよ」
…俺の願いは叶うことがなかった。
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リビングに散らかってたはずの煙草の空き箱。
この前袋にまとめた吸い殻。
開けてない新品の箱。
リビング中に染み付いたあの匂い。
煙草に関係した物が全て家の中から消えてる。
自分が吸ってたことも忘れるくらい、きれいさっぱりと。
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チャイムが鳴る。
ドアを開けると、子供を抱えたAのママ、そしてあいつら4人がその後ろに立っていた。
状況をイマイチ読み込めないままリビングへ招く。
母「抱っこしてあげて」
ママの華奢な腕から初めて命を受け取った。
スヤスヤ寝てる。
生まれた時真っ赤だった肌は白になってる。
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今日来るなんて聞いてねえし。
良かった、煙草関連の物がなくなって…。
なく…なって…？
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子供をママに渡して寝室に行く。
さっきのような温かさはない。
Aはもういない。
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もしかしてお前が全部持って行ってくれたの。
体内のニコチンも全て。
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…どうしてもあいつは俺をパパにしたいらしい。
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チェリー(プロフ) - 汐音ちゃんがどんな風に育つのかがとっても気になります！この作品はお山のてっぺんから見させていただいていて、他にも、ふたまたさとしなども、本当に大好きな作品です！！また、ちおさんの作品まってます！長編作、お疲れさまでございました！！ (2018年3月10日 10時) (
レス) id: a0fb27e534 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - 完結おめでとうございます！！んもーーーーー、本当に！良かった！！の一言です笑 主人公が亡くなってしまってからの智くんの気持ちが痛いほど伝わる書き方、本当に素晴らしいなと思いました！夢で良かった。本当に。 (2018年3月10日 10時) (レス) id: a0fb27e534 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - うぴさん» 夢でした！夢の中で得た経験を現実世界でも発揮してくれると思います(^^) (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - ちはるさん» ファンだなんて…嬉しいお言葉をありがとうございます！今回の更新で完結となりました。最後まで読んで頂けると幸いです。 (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - すりおろし梨。さん» 智くん自身、未だに現実と夢の区別がつかなくなることもあるみたいですが…、夢というオチでした(^^) (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちお
| 作成日時：2017年12月30日 17時
