VIPな入院患者 ページ38
私はドアの前で呆然と立つ
祐一さんの手を引いて
ラウンジまでやってきた。
中に居たのは恐らく秘書か役員で、
祐一さんを後継者にと提案したのだろうが
社長が否定した、といったところだろう。
祐一さんの顔を盗み見ると、
少し悔しそうな、苦慮した顔が浮かんでいた。
私は何と声をかけて良いか分からず、
「社長、特別室なのに
外に聞こえるほどに大声出して
血圧上がっちゃったら大変ですね」
そう笑いかけたのだけど、
祐一さんの返事はない。
それ程にショックだったのだろうか、
彼が今、何を考えているのか分からない。
こういう時、
恋人はどうするのが正解だろうか？
困った。困った。
私の心配をよそに、
彼はスーツケースからパソコンを取り出し、
おもむろにキーを叩き始めた。
どうしたものか、
いつのまにか手を離されていた私は、
コーヒーでも買ってくるか、と立ち上がった。
上の案内板を頼りに
自販機か売店を探して歩く。
…え、
あの後ろ姿って…
いや、待て。
この階はVIP専用の特別階だ。
私はその人が出てきたであろう
病室の前を通ってみたが。
…もちろんVIP室には
プライバシー保護の為に名前の記載などはない。
私はさっきの人を確かめようと追いかけた。
…が、結局見失ってしまい、
1階にあったコーヒー専門店で
コーヒーを２つテイクアウトをして
ラウンジに戻った。
祐一さんは変わらず
パソコンと向き合ったままだ。
はい、と言って渡したが
真剣なのでテーブルの隅に置いて
1人でコーヒーを啜った。
しばらく経ったから
そろそろ病室へ向かっても良いと思うが、
祐一さんは一向に動く気配がない。
私はちょっと電話してくる、と
聞こえていないだろう祐一さんに声をかけて
病院の外に出た。
Prrrr...
母「あら、珍しい。どうしたの？」
「ちょっと聞きたいんだけど、
うちのバイトの荒木くんって何で採用したの？」
母「え？何でまた？」
「荒木くんって優璃が紹介したんでしょう？」
母「まあ、そうね。
バイト口を探しているって言われて」
「じゃあ、荒木くんの家のことは
何も聞いてない？」
母「あ…お爺様が葉山建設堂の会長ってこと？」
「…荒木くんのご家族が病気とか」
母「確か、お姉さんの具合が
悪いんじゃなかったかしら」
「え？お姉さん？」
母「確か、お姉さんがいたはず。
彼は何も言わないわ。
ただ皆、複雑な事情を抱えているのよ」
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こちいこ(プロフ) - さかなちゃんさん» いつも応援ありがとうございます！描こうと思ってたストーリーを変えて、思いつきで描いたらちょっと失敗気味ですが、波乱の幕開けとしたいので、もうちょっとハラハラして下さい(笑) (2018年12月16日 21時) (
レス) id: 0b60cb1e95 (このIDを非表示/違反報告)
さかなちゃん(プロフ) - 更新ありがとうございます！2人がくっついて嬉しいんですけどお父さん体調不良でどうなるんだろう･･･？とハラハラみてます。さらに年下くんともどうなるんだろう？続き、楽しみにしてます！ (2018年12月16日 19時) (レス) id: 6abe047d30 (このIDを非表示/違反報告)
こちいこ(プロフ) - さかなちゃんさん» いつもコメントありがとうございます！実は前からこんな展開を描いていて、でもなかなかその内容を出すタイミングが掴めずに非公開にしていたんです。今回、無理矢理公開したので一気に更新となりましたが。新キャラ登場で、話に動きが出るといいなと思っています。 (2018年12月9日 1時) (レス) id: 0b60cb1e95 (このIDを非表示/違反報告)
さかなちゃん(プロフ) - 大量更新ありがとうございます！ライバル出現にビックリです！でも振り回される主人公、可愛いですね。優しいだけじゃなくていろんな顔の祐一が見られそうな展開で楽しみです！ (2018年12月8日 20時) (レス) id: 6abe047d30 (このIDを非表示/違反報告)
こちいこ(プロフ) - さかなちゃんさん» 早速読んでいただけたんですね。ありがとうございます。完全に迷走しています。もうちょっといちゃいちゃさせたいです。頑張ります(笑) (2018年12月6日 18時) (レス) id: 0b60cb1e95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こちいこ | 作成日時：2018年11月17日 8時
