結婚相手募集され中2《サバイバルウェディング》

彼のお母様 ページ31

しばし社長と談笑していると、
祐一さんとお母様が入って来た。


祐一「父さん…
睡眠不足と過労だって聞きました。
父さんが倒れたら色々大変なんですから
体調管理はしっかりして下さい」




祐一父「あ、あぁ。悪かったな」

拗ねるかのように
そっぽを向く柏木社長。

柏木社長って前に父が言っていたとおり、
息子には素直になれないのね。



「じゃ、親子水入らずで
ゆっくりした方が良いでしょうから
私はここで失礼しますね。
柏木社長、どうぞお大事になさって下さい。
奥様、祐一さん、また伺います」




祐一「いや、僕も一緒に帰るよ。
Aが作ってくれたご飯
楽しみにしてたんだし」




「祐一さんはゆっくりしてきて下さい。
こういう時でないと、
ゆっくり話が出来ないでしょう？
それに、ご飯はいつでも
食べられるじゃないですか」




祐一母「あら！祐一！
いつの間にか、随分と仲良くなったのね！」

お母様の顔がパアッと輝いていて。



あ、そっか…
報告は後でと思ったけど、今言うべき？

ちらっと祐一さんを見ると、


祐一「母さん、
僕達、今日から付き合うことになったんだ。
まだ実感もないんだけどさ」


祐一母「あら、そうだったの！？
それは申し訳なかったわ。
目の前で惣一さんが倒れるものだから
もう私、慌てちゃって。
惣一さんはもう大丈夫だから、
若い2人はもう帰って良いわ。
祐一、ちゃんとAさんを
送って差し上げなさいね」




祐一「うん。分かってるよ。
父さん、また来ます。
しっかり休んでください」


お母様のどことなく有無を言わせない笑顔に
私もこれ以上は言えず…


「奥様、お気遣いありがとうございます。
また改めてご挨拶に伺いますので。
では、ごめんください」




病室を出た途端、
スッと手を取られ、手を握られた。


祐一「帰ろっか」


星でも飛んでくるのかと思うほどの
キラキラした笑顔を向けられ、
それから、
手を恋人繋ぎに繋ぎ直されて、
私は恥ずかしさに離れようとした。


でも、それは叶わなかった。



ぐい、と逆に引っ張られたから。



タクシーが来るまでの間、
気恥ずかしさに
祐一さんの腕に顔を埋めていると、



祐一「僕達のスタートが
大変な日になっちゃったね。
この先もきっと色んなことあるけど、
僕はAを手離すつもりないから」



「…嬉しいけど、そんなこと言うから、
手汗かいちゃったじゃない……離して」



祐一「手汗なんか気にしないよ」



私が気にするんだってば…

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