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 第二話 ページ14

地図を広げて首を捻り、唸ること30分。
 その間にもリアムはあっちにいって伸びをしたかと思えば、部屋から出ていく。かと思えばまた戻って来て……とあちこち行ったり来たりしていた。

「集中できないから、動き回らないでよ。」

 苛立ちをぶつけたものの、集中しても思いつく訳ではない気もするのだけど。
 リアムは素知らぬ顔で欠伸をして、

「じゃあ、諦めればいいじゃん」

 と言う。正論だ、返す言葉もない。
 でも、諦めるのは嫌だ。元々頑固な性格なのもあると思うし、食いしん坊なのもあるんだろうけど、こればっかりは譲る気にはならない。
 こうなれば仕方ない。

「もういい! お母さんに駄々をこねる!」
 
 駄々をこねるのは、前世の妹の得意技だった。お母さんに納得してもらう手段はそれしか思い付かない。
 これ以上無理だ、と脳味噌も叫んでいる。

「さすがに、そんな簡単に許しては貰えないでしょ」

 リアムの目が可哀想な人見る目になってる。失礼な。
 駄々をこねるのは子供の特権だ。12にもなって恥ずかしくないのか、と聞かれれば恥ずかしい。けど、目的の為には手段を選んでなどいられない。

 そういえば3才年下の妹は、幼稚園の頃から駄々をこねるのが得意だった。
 ある日はぬいぐるみをねだりにねだって買ってもらっていた。そして、またある日は幼稚園に行きたくないと駄々をこねにこねて、1日休みを獲得し……。
 
 昔、祖母に色違いの帽子ををもらった時には嫌だ、お姉ちゃんの持ってるピンクのが良い、と駄々をこね、結局、私が折れて譲ったのだ。
 でも、その後結局……。

 懐かしいなぁ、あれ? なんか切なくなってきた。

 ……まぁ、とりあえずそんな妹を手本にして、私は前世から考えれば数十年ぶりに駄々をこねることにしたのだった。

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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ふりかけカスタード - きゅうりが死因w更新楽しみにしてます! (2017年8月21日 13時) (レス) id: f6c6c4268e (このIDを非表示/違反報告)
ルピナス@桜飴(プロフ) - 従順なこいぬさん» 返信・更新が遅くなり申し訳ありません。コメントありがとうございます、本当に嬉しいです! (2017年6月26日 21時) (レス) id: f79117ebd7 (このIDを非表示/違反報告)
従順なこいぬ - 面白すぎて、夜なのに思い切り吹き出してしまいましたw (2017年4月3日 22時) (レス) id: 05eb78a7ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:バンビ娘 | 作成日時:2016年5月30日 12時

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