転生先が乙女ゲームみたいなんだが 2【鬼滅の刃】

第伍拾漆話 ページ9

あれから数日。
私は改めて煉獄さんのお見舞いに向かっていた。


この前は向こうも傷の手当てを受けていたり、私も傷の手当てを受けていたため、きちんと見舞うことができなかったからだ。

……本来なら、行こうなんて思わないんだけど。




「…はぁ」




それは昨日のこと。




『美華さん以外の柱の方々は煉獄さんのお見舞いにいらしてますよ』
『え、』
『美華さんは来ないんですか？』




……なーんてしのぶに言われてしまい。

そこに『煉獄さんも美華さんと話したがってましたよ』なんて追い討ちをかけられたら行かないわけにもいかず。


私は意を決して蝶屋敷へと向かっていた。
……手土産に私の大好きな羊羹を持って。

あわよくば一緒に食べようとか思ってませんから。
この羊羹は…あくまでもお見舞い用ですから。


……本音？私が独り占めしたいのにぃ。




「失礼します」




蝶屋敷に着いて病室の戸を開ければ…煉獄さんはベッドの上で窓の外を眺めていた。
……絵になるな、なんて、当たり前か。




「よもや！見舞いに来てくれたのか？」
「…まぁ」




これ、見舞いの品です。と羊羹を手渡せば煉獄さんは嬉しそうに笑った。
そして、ベッドの隣にある椅子に座るよう促される。




「怪我の具合は如何ですか？」
「うむ！だいぶ良くなったぞ！」




……確かに、それだけ大きな声が出るならもう大丈夫そうだ。思ったより元気そうで安心した。

それでもきっと、不便なことには変わりない。
目が見えないなんて…とても大変なことだ。すぐ慣れることでもないし。




「実は見舞いに来てくれた他の者には言ったんだが……」
「？」
「俺は柱の位を返上することにした」
「そ…」




そんな…、そう言いかけたところで口を閉じた。

考えてみれば当たり前のことだ。
生きている、といっても片目を失った状態。
日常生活こそ出来ても、今までのように最前線で鬼と戦うことは不可能だろう。




「……そうですか」




だから私が、とやかく言う事ではない。

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