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第漆拾捌話 ページ30

あんな事があった後でも任務は任務。
遂行しなければならない。
現在私は、一人屋根の上で吉原を見下ろしていた。

切り替えなきゃ、わかってる。
わかってるけど……浮かんでくるのは先程の出来事に関することばかり。
完全に振り回されてる、ほんとムカつく。




「……あーもう!」




ガシガシと頭をかく。
そして屋根を蹴って飛び降りた。

もう日も暮れて、鬼が出てもおかしくない時間。
というか、そろそろ炭治郎が堕姫と交戦してる頃。
伊之助も我慢できずに動き出しただろう。

加勢に行くべき?どっちに?
天星さんには出会したくないから天星さんがいない方に行きたいんだけど。




「……。」




ふと、腰に下げた刀が目に入る。

この世界に転生してから……私は、何度もこの刀を振るって鬼の頸を斬ってきた。
それがこの世界の私、野一色美華の仕事だから。


でも……今でもやっぱり怖い。
刀を握るのも、鬼と対峙するのも、全部怖い。

そりゃ、前世は平和な日本で生まれた刀も握ったことのない普通の女の子だったんだもん。
どっかの物語みたいに、いきなり転生先の世界に馴染んで無双するなんて……私には出来っこない。




「……何で、転生なんてしちゃったんだろ」




しかもよりによって鬼滅の刃の世界だなんて。
恋愛ものの世界に転生とかだったら怖い思いも今よりはしなくて済んだかもしれないのに。

そして挙げ句の果てには悪役。
主人公でもモブでもなく、悪役。




「ほんと、私ってとことんついてない」




これから私は死地に飛び込む。
心の中はほぼほぼ恐怖が占めている。
でも……この世界の私は、一応柱だ。
後輩隊士に情けない姿は見せられない。

パシン、と勢いよく頬を叩く。
気合を入れ直し、私はまた歩き出した。

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セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - ネこ?ャんさん» ありがとうございます…!そう言っていただけると励みになります!更新はゆっくりかと思いますが、今後ともご愛読のほどよろしくお願いします! (2022年6月22日 18時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
ネこ?ャん(プロフ) - 初コメ失礼しまぁぁあす!単刀直入に言いますと、今まで見た色んな人の作品より大っすきです…!!みんなとの関係が丁度いいというか…愛ちゃんからの攻撃も攻めすぎず攻めなさすぎず、ほんとに大好きです!ゆっくりでも更新頑張ってください!待ってます!!! (2022年6月21日 18時) (レス) id: c14429c9f6 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - シャンさん» ありがとうございます!天星ちゃんとの関係や、他の男達との関係などなど……これからも怒涛の展開…になる予定なので、どうぞご愛読のほどよろしくお願いします! (2021年7月17日 18時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)
シャン - コメ失礼します!正直天星ちゃんといい感じになってるところとかそのまま男達にも好かれてるところとか性癖にぶっささりました!頑張ってください!!!めっっっちゃ好きです! (2021年7月16日 21時) (レス) id: 6939ec7c5a (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ・ラフィーネ(プロフ) - suzuharuさん» ありがとうございます!そう言っていただけると励みになります……!更新はゆっくりかと思いますが、ご愛読のほどよろしくお願いします! (2021年7月1日 12時) (レス) id: 50bf8bc3a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セレーナ・ラフィーネ | 作成日時:2021年4月12日 19時

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