転生先が乙女ゲームみたいなんだが 2【鬼滅の刃】

第伍拾壱話 ページ3

「…それはすまなかったね」
「え…」




悪いのはどう考えても私なのに、お館様は眉を下げて私に謝罪する。
どこまで優しいんだ、お館様は。




「それじゃあ、代わりを立てることにしよう。
美華、誰ならこの任務に最適かな？」




お館様の問いに、私はしばらく考える。


無限列車編、本来なら煉獄さんと炭治郎、善逸、伊之助で任務に向かうはず。

おそらく何もしなくても炭治郎たちは来るだろうから…代役なんて立てなくても良さそうだけど。


でも、何もしなければここで煉獄さんは死んでしまう。それが正しい原作の流れだけど、見て見ぬ振りをするには私は煉獄さんと親しくなりすぎた。

なら、どうするべきか……
必死に考えたところで、一つの答えが浮かぶ。




「…私は、天星さんがいいと思います。

彼女とは何度か任務を共にしましたが、かなりの実力の持ち主だと思います。
彼女ならこの任務を完遂できるかと」




……いつだって、誰かのピンチを救うのは主人公。
夢小説において救済をするのは悪役じゃなくて夢主じゃなくっちゃ。

それに、きっと天星さんだって行きたいだろうし。
こんな原作の重要イベント見逃すはずがないよね。
これは私なりの優しさです。




「…そうだね、では愛にそう伝えるとしよう」
「ありがとうございます」




天星さんの考えるシナリオがどんなものかはわからないけど……
どうか良い方向に向かいますように。

自分で変えようとしない私はとっても酷いやつだと思うけど、私は夢主になれるほど強く出来た人間じゃないんだと改めて実感した。

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