少女の巻2 ページ2
「あっ……」
「……済まない。」
さっとその男は手を下げて向こうに行った。
そして先程は気付かなかったが、何やら人形のようなモノがいた。
お面…手足は義手と義足。
なんだあいつは…先天的障害児か。
やっとこの身体の小ささに慣れて、囲炉裏の前まで歩いて行った。
ここはどこかもわからない。
自分の身体が誰のものなのかもわからない。
なんで死なずにこんな場所にいるのかもわからない。
全部…何もかもわからない。
囲炉裏の前に出てきたはいいものの、この人形の近くに座るのも気味が悪い。
「お前さん…名前は」
「……」
「いくつだ」
「……」
「わしは寿海
こいつは百鬼丸だ仲良くしてやってくれ
背丈で言えば、同じ年頃ぐらいだろう」
チラッとその百鬼丸と言われた奴を見ると、6、7歳程の背丈をしていた。
自分もそれぐらいの背丈ということは、どうやら自分はちゃんと死ねたが、来世というものがあったということだろう。
なんて不運。なんて不快。
そこまでして生きていたいのか…
この身体は…記憶を持ったまま…!!
最低だ。気持ちの悪い人間だ。醜い。
なんで自分だけ!!なんで…なんで…
「さぁ、飯が出来上がったぞ食べなさい」
「……」
食欲なんぞ湧くはずもなく、
ただぼーっと茶碗に入れられたモノを見つめた。
「ほら、ここに座りなさい」
「……」
その言葉には従おうと思い、
気味の悪い百鬼丸から少し離れて囲炉裏の前に座った。
「身なりを見るに何処かの姫様か
逃げてきたのか?」
「……分からない
何もなんでここにいるのかも、
ここが何処なのかも、
自分は誰なのかも何もかも分からない」
何故だか分からない。
囲炉裏の暖かさにじわっと心に沁みたのか、今まで話す気にもなれなかったはずの口が、どんどん言葉を紡いでいった。
だが、そのおかげで一つだけわかったことがあった。
それは、この声は間違いなく自分の声で、自分の身体が小さくなっているのだということだ。
「でも、自分は死にたかったそれだけは確かだ
高いところから飛び降りたんだ…
なのに生きている…なんで、死んでないのか未だに理解できない」
「あの近くに高い崖なんてないが……」
その言葉に何を言っているのかと思った。
「崖じゃない
自分が飛び降りたのは学校の屋上だ」
「……そのお前さんが言う
学校やら屋上やらはここにはないぞ」
訳が分からなかった。
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おはぎ(プロフ) - 名無し19389号さん» コメントありがとうございます!この秋にどろろを初めて見まして、どっぷりハマってしまいました!これからいろんな展開を見せていくので、引き続きよろしくお願いします! (2021年11月27日 15時) (レス) id: 04160e4038 (このIDを非表示/違反報告)
名無し19389号(プロフ) - てのさんのどろろの作品大好きです!!😭😭 (2021年11月26日 21時) (レス) @page13 id: 9c652c1e25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ての | 作者ホームページ:http://tenorishu
作成日時:2021年11月14日 4時