【リヴァイ】残酷で美しい世界に【進撃の巨人】 (ページ10)

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＃06 ページ10

「しないと何度言えばわかる!
私はこれからエルヴィンのところに戻るんだ」

目の前のハンジに何度睡眠時間を削られたことだろう。
それならば、エルヴィンの小言を聞く方がマシというものだ。
ちらちら振り返るハンジを見送って、それでもやはり、エルヴィンのところに行く気は起きなかった。
要は、ハンジのあの顔と目に靡いたのだ。
場所は勿論、書類に追われているハンジの部屋。自分にいいわけをしながら、ハンジの仕事を手伝うことに決めた。

「この書類はこれで完成だ。こちらに重ねておく。
ハンジ、それはその下に落ちている書類に添付するのものだ」

「あ、本当だ、危ない危ない。……よし、これはこれで終わり!
ジゼル、そのできてる書類たちなんだけど…」

「こちらは各分隊長宛か。この報告書は、キース団長へ手渡せばいいのか?」

「そうそう!話が早い!」

最後に、資料添付必要書類、サインのみの書類などと積み分け「行ってくる、サインのみのものから片してほしい」と伝え、部屋を出た。
小走りでそれぞれの分隊長へ書類を渡し、団長にも書類を届ける。エルヴィンの元へ行くのが最後になったのは必然だ。

「ハンジからの書類を預かってきた。
すまなかった。ハンジのほうが立て込んでいたようだったから、戻ってこられなかった」

「ああ、大丈夫だよ。それは遅れたら困るものだったからね、逆に助かった」

「そうか、では私は、ハンジのところに戻る」

「少し待て。……食堂でのことだが、どうした?妙にリヴァイに引っかかって…。年上には敬語を使うように教えた筈だが?」

「あぁ、すまなかった。リヴァイ殿にも非礼を詫びてある。どうか許してほしい」

「良い子だ。まぁ、お前だけでなく、リヴァイも妙にお前に突っかかっていたからな。大目に見よう」

「すまない。ありがとう、では私は戻る」

部屋を後にして、やはり言われるか、と肩を落とすと同時に、リヴァイを思い出して、忘れていた悔しさを噛み締めた。

　***

「終わった～!」

ハンジが両手をあげて喜んでいる傍で、私は疲れのあまりソファに深く腰掛けた。
今回も、日付が変わっても仕事は終わることはなく、しばらくった今、ようやく忙しさは終わりを告げたばかりだ。

「ハンジ、もう仕事はないな?」

腰を上げながら、ドアノブへと手をかける。「もうないよ～ありがと～!」という言葉を背に、静まり返っている廊下へ出た。