＃17 ページ21
「……私たちは、いつだって圧倒的に……情報不足です。
それでも……選ばななくてはならない……。
正解がわからなくても……選択できる貴方は……それだけで、褒めるに値する。
……それに、前回の壁外調査は霧が酷かった。
………どちらを選んでも同じ結果になる可能性は高かった筈……でしょう」
苦しそうに呻きながらジゼルは俺にそういった。
ったくこのガキは、俺のことを恨んでいるんじゃねぇのか、てっきり俺を責めるような言葉でもいうかと思ったのに。
「…………」
俺は、意外な言葉に、なにも返せず黙ってしまった。
「……私が、そういったところで、貴方は背負うのでしょう。
…自分を責めるのでしょう。……ですが、これだけは、言えます。
………背負ったものを下ろさなくて、いい……その代わり…止まるな。
……自分を責めるのは…私たち人類が勝ったら…いくらでもやってください」
オイ、途中敬語なかったぞ。という暇なんてなかった。
何とも言えない締め付けられるようでいて、希望を与えられたような気持ちを、俺はどこかで味わったことがあるんだ。
＿＿＿＿＿＿エルヴィンだ。
前回の壁外調査、俺はあいつを殺そうとした。俺はそこで、エルヴィンにお前の力をここで生かせ、お前は人類に必要だ、そういったアイツと、目の前にいるガキが重なった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿わかってンじゃねぇかよ。
「うるせぇ。…どうして俺がお前に慰められなきゃならねぇんだ」
「……すみません」
「お前が、俺が言うはずだったことを全部取っていくんじゃねぇ」
「……え?」
「お前は、死にたいんだろうが、お前の力は人類の役に立つだろう。
勝手に、テメェの判断で、テメェを要らねぇと言うんじゃねぇよ。
……癪だが、お前の立体起動はすごかった。それは認めてやる」
クソが、俺がせっかく、お前を殴って蹴って、躾けてやろうと思ったのに、お前のせいで全部が台無しだ。
ジゼルの腕を引っ張りあげるが、俺のせいで体に力が入らないジゼルの体は俺に寄りかかる。
だが、すぐに俺から離れようと無理やり動く動きを止めて、俺はジゼルを支えた。
「俺のせいでそうなってるんだ、素直に寄りかかれ。手伝ってやる」
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作者名：clear | 作成日時：2017年5月5日 21時
