【リヴァイ】残酷で美しい世界に【進撃の巨人】 (ページ11)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:87,381 hit

＃07 ページ11

「リヴァイ殿……どうしてここに」

声をかけらた頭上へ視線向ければ、若干驚いた様子のジゼルがいた。
場所は、昼間の木下で、先程まで仕事をしていたのだろうか、声と顔に疲労を張り付けたその様子に、思わずため息が漏れた。

「何だ、とっくに日付は変わってるぞ、……ガキはとっとと寝ろ」

「そうですね……ですが、なんだか眠れなくて」

そう言うとジゼルは、なぜか俺の隣に腰を下ろし、シルバーリングを弄ぶ。
流れる沈黙は、なにやら言葉を考えているようで、柄にもなくジゼルが口を開くのを待つ。

「今日は本当に申し訳ありませんでした」

「もういい。俺の起こし方にも問題があったようだからな」

俺がそういうと、自分にも非があることを認めたのがよっぽど意外だったのかジゼルは目を丸くしていた。

「そんなに以外かクソガキ」

「いえ、そんなことは」

急いで俺から目線を外すと、またリングを触っている。
そんなにそのリングが大事なのだろうか、昼間も血相を変えて俺から逃れた後、一番に気にしたのはそのリングだった。

その時、ジゼルの横顔を見て、地下街にいたころの1つの出来事をふと思い出した。
助けたときはまだ年端も行かねぇガキだったな。

「おい、お前、歳はいくつだ」

「は?…わ、わかりません。たぶん18～20の間かと」

助けたあのガキもあきらめずにしぶとく生きていればコイツと同じくらいか。

「自分の年が分んねぇのか」

「気づけば地下街に居たので…」

「まぁ、あそこにいるやつらにはそういうやつらも多いだろうな。

……俺は昔、テメェみたいなクソガキを助けたことがある。
まぁ、目覚めが悪いから助けただけだがな。
…そいつに別れ際、名前を聞いた。だがな、そいつは年齢どころか、自分の名前すらなかった」

ジゼルから視線を外し、星空を見上げていたら、助けたガキの話をしてしまった。
名前がないやつもいるのだから、名前があるだけお前はマシだろうと、俺はコイツに言いたかったのだろうか。自分にもとんだ気まぐれがあるもんだ…。

「そう……ですか」

「そいつも、しぶとく生き延びていればお前と同じくらいなんだろう。
蹴られすぎて、顔が血だらけだったからな、顔はあんまり覚えちゃいないが」

再びジゼルに視線を戻すと、何か言いたいことでもあるのか、俯いて、ぐっとリングを握りしめていた。
気分でも悪いのかと声をかけようとした時、真剣な眼差しが俺をとらえた。