【テニスの王子様】遠回しな君の隣５【不二周助】完結 (ページ8)

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144話　最後の祭りページ8

男子テニス部の部室、そしてコートの周りには、全校の女子生徒がいるのではないかと思うほどの人だかりができていた。

さっき挨拶できなかったから、ミーティング後、不二先輩と会う前にでも行こう、などと思っていたが甘かった。現状を見るとそれすら不可能そうだ。
むしろ奏恵に連れてきてもらってよかったかもしれない。

でも確かに、当たり前だが先輩たちとは、高等部に行ってしまえばほぼ接点はなくなるし、何より中等部の制服を着ている彼らがみられるのは今だけだ。少しでも彼らの姿を拝んでおきたいのだろう。

到着したとたん、奏恵は「チッ、出遅れたか……！」と戦士のような風格で呟いていた。
この後の男テニは、ミーティングをし、午後一から旧レギュラー対新レギュラーの試合を行う予定のはずだ。

この人だかりは、多分それの場所取りだろう。

私は小さく嘆息して奏恵のあとに続く。すると視界の端におにぎりを持った人を見つけて、はたと気が付く。
奏恵の肩を指先でたたけば、殺気立った奏恵の視線とぶつかった。

貴「あの、昼飯食っても？」

奏「私のも買ってきて！」

そういいながら、奏恵は人だかりの中に消えていく。

私は自分の財布と奏恵の財布を教室まで取りに行き、わざわざ校外のコンビニで昼ご飯を買って奏恵将軍まで届けるのであった。

乾先輩のウォーターフォールが、海堂の足元を超高速で過ぎていく。海堂がシューと長く息を吐いて、より乾先輩のテニスに集中するのが分かった。

テニスコートでは、私たちの目の前のコートで、乾先輩対海堂、奥のコートで河村先輩対桃のシングルスの試合が行われていた。

先ほどまでゴールデンペア対2年生の新生ペアが戦っていて、こちらはゴールデンペアの圧勝ではあったものの、2年生も今後に期待できる内容だった。

歓声は時間を追うごとに増えていき、うちの学校の男子も、昼を食べ終わってから足を運んだ人が多いようで、既にコートの周りにはたくさんの生徒が詰めかけていた。

私は叫ぶ奏恵の隣で、ブーメランスネークがきれいに決まった海堂に拍手をする。