【テニスの王子様】遠回しな君の隣５【不二周助】完結 (ページ19)

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155話　ブラコンページ19

私はスマホからアルバムを起動させ、ひとつの写真を選択する。それを見せながら、気持ち的には声を大にして言い返した。

貴「不二先輩の裕太狂いは今に始まったことじゃないだろ」

それを見た瞬間、裕太は私の手からスマホをかっ攫う。
顔は先程より赤く、もはや茹でダコに近かった。

裕「なん……おま……な……」

貴「『なんでお前がそれを持ってる』と、お前は言う」

裕「もう言った！」

貴「ほぼ言えてなかったけど」

私の言葉に、裕太が「そうじゃなくて」と本日2度目の切り返しを見せたところで、私が先手を打つ。

貴「不二先輩にもらった」

同じ問いを繰り返される前に先に答えを伝えると、裕太は拳を握りしめて「兄貴～！」と恨めしそうに目を瞑る。

壊される前に裕太の手からスマホを救い出し、私はアルバムを少しスクロールした。

不二先輩と、直接話したり、メッセージでやり取りする中で、裕太の話題はやはり出る。
裕太なくして不二周助は語れない、と言っても過言ではないほどだ。

「あの裕太がかわいい」「この裕太がかわいい」と、まるで彼女を紹介するがごとく、生まれてから最近までの、喜怒哀楽、テニス、家族旅行、コスプレなどなど、怒涛の勢いで写真と共にかわいい裕太を幾度となくプレゼンされた。

ぶっちゃけ私もかわいい裕太大好きマンなので、その話題は不二先輩と盛り上がる話題ぶっちぎり1位だ。

不二先輩は見た目よりずっとお喋りだと思うが、先輩発信からの話題で、手放しに惚気けることはあまりない。共通の話題ということもあり、どうしても盛り上がってしまうのだ。

裕太もその可能性には気づいているようで、眉間の皺がかってないほど深い。

なので、一応フォローを入れる。

貴「誰彼構わずはやってないと思うから、安心しろよ」

裕「当たり前だ！」

憤怒で少し息切れしながら、裕太はピシャリと言い切った。

さすがにそろそろ引いてやるかと、私は会話を遡るため、裕太に問いかける。

貴「なんでこんな話になったんだっけ」

裕「お前のせいだろ」

貴「ごめんごめん」

額に青筋をうかべる裕太の視線があまりに痛く、私は言葉尻を笑いで震わせつつ、一応謝罪を伝えた。