33話 一枚上手 ページ34
惜しかったんだね。
と、朝、学校に来てからいろいろな人に言われた。
そうですよ本当にもう。
声をかけられるたびに愚痴り、声をかけてきた方は最後はめんどくさそうにして適当にあしらっていく。
何だお前らが声かけてきたんだろ！
そう叫ぶと、愚痴を聞きたいわけじゃないと一蹴される。なんてひどい。
由良に報告すれば号泣の電話がかかってくるし、両親に至っては「Aはまだまだ未熟だなー」とか言いながら酒を交わしていた。
娘が負けてきたのにこのやろう。しかも写真と動画はちゃっかり由良に送ったらしい。恨む。
桃「あんなに大口叩いてたくせに」
貴「うるせえバカやろう」
朝からずっと嫌みを言ってくる桃を睨みつけ、私は席を立った。
土曜日日曜日と大会だったため、今日の部活は休みだ。
貴「部活で潰れろ」
桃「大会負けたくせに」
貴「ケッ」
桃「ハッ」
悪態をつきながら教室を出る。
廊下には人が溢れていて、この中を通っていくのでさえ面倒で仕方ない。
その前に図書室によって本を返しに行かないと。
すみませーんと小さな声を出しながら廊下を抜け、図書室まで足を伸ばす。
放課後の図書室にはいつも2人ほどしか人がいなくて、静かで、穏やかでとても落ち着く。
この本を返したら次は何を借りようかなと考えながら図書室のドアを開ける。
生暖かい空気。
貴「あれ……」
中に入ると、見慣れた後ろ姿がある。
私のいたずらごころが疼き、驚かしてやろうとそっと足を忍ばせて近くまで移動。
後ろから「わっ」と驚かせる作戦だ。
幸いその人以外に人はいないし、司書さんも準備室にいる。
貴「……――――」
息を吸って声を出そうとした、その時。
貴「っ!?」
「クスッ。驚かそうとして、自分が驚いてどうするの」
不二先輩は急に振り返って私を見ると、くすくすとおかしそうに笑う。
貴「気付いてたんですか」
不「誰か来たな、とは思ったよ」
貴「くっそう……」
どうやら不二先輩と出し抜こうとした私が馬鹿だったようだ。
先輩の手元を覗き込むと、どうやら勉強をしていたようだ。
もともとの成績はいい上、このまま高等部へ進学するだけだというのに、まさかこんなところで勉強しているなんて。さすがだ。
貴「勉強してたんですね」
不「まあね。少しくらいやらないと」
貴「桃にも聞かせてやりたいですね」
不「Aもでしょ」
貴「さて、本返してこようっと」
忍び笑いを背中で感じつつ、私はカウンターまで歩いた。
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葉奈(プロフ) - そうですww作者がにこにー推しですww (2015年5月17日 19時) (
レス) id: b46f08eacb (このIDを非表示/違反報告)
ユール - えーと…にこにー？ (2015年5月15日 18時) (レス) id: 63bdae9473 (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - ありがとうございます！がんばって更新しますのでよろしくお願いします！！ (2014年11月30日 18時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
ｙｕｎｙｕｎ - 合格、おめでとうございます。本当に良かったですね。更新、楽しみにしてますね。 (2014年11月30日 15時) (レス) id: 329a32a11c (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - 雪代さん» ありがとうございます！！！ 頑張りますのでよろしくお願いします！ (2014年11月10日 22時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉奈 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/
作成日時：2013年10月27日 21時
