2話 それから変化した心情 ページ3
早朝。
たぶん7時前くらいだろう。
朝練に向かっている私は、寝ぼけ眼をこすりながらチャリをこいでいた。朝の風はまだ生ぬるさを残し、長袖になったシャツに張り付く。しばらく欠伸をしながらペダルを回していると、目の前に見知った背中が見えた。
貴「不二先輩!」
私が呼ぶと、不二先輩は朝からさわやかな笑顔をこちら向けけてくる。
まったく眩しいぜ。
私は自転車から降りて、不二先輩の隣を歩く。
不「おはよう」
貴「おはようございます。朝練ですか?」
不「うん、まあね」
貴「皆さん引退してもあんまり変わりませんね」
不「テニスしてるときが一番落ち着くんだよ。楽しいしね」
テニス部の試合にはよく顔を出して応援をした。
私自身テニスをみるのが好きだったし、プレーしている姿は、ほかの女子が騒ぐのも頷ける。
あの桃ですらかっこよく見えてしまう始末だ。
まったく、あのときは目が腐ったかと思ったぜ。
それは不二先輩にも同様で。
いつもは朗らかな笑みを浮かべているが、試合の時は別人になることがある。
特に立海切原との試合には驚いた。
目の見えない状態でも戦う不二先輩の姿に……なんていうんだっけ?
見惚れた?心を奪われた?
そんな感じだ。
手に汗握って、お疲れ様でしたと試合後にひとこと言ったら、笑顔でありがとうと返してくれた。
不「あ、そういえば由良さん元気?最近見かけてないけど」
貴「あー……まあ元気なんじゃないですか」
由良は私の兄であり、元テニス部部長。
個人では全国1位。
高校に入ってからも、インターハイで3年連続優勝してしまった。
見た目がいいので女子に人気だが、その実態はただの変態にすぎない。
不「大会には何度か応援来てくれたけどね」
貴「もう知りませんよあんな変態。昨日だって……」
朝から不二先輩に愚痴る。
すみません先輩。
でも言わせてくださいお願いします。
貴「……普通妹にむかって愛してるとか言います!?気持ち悪すぎるでしょ!」
不「由良さん相変わらずA大好きだね」
貴「気持ち悪いですどうしよう!」
不「フフっ」
不二先輩が楽しそうに肩を揺らす。
ああ、そういえば最近、不二先輩が笑うの見るとうれしいな。
なんというか、いっつも笑っているけど、こういう風に、私と話しているだけで楽しそうにしてくれるのは、なんだかたまらなく、うれしい。
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葉奈(プロフ) - そうですww作者がにこにー推しですww (2015年5月17日 19時) (レス) id: b46f08eacb (このIDを非表示/違反報告)
ユール - えーと…にこにー? (2015年5月15日 18時) (レス) id: 63bdae9473 (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - ありがとうございます!がんばって更新しますのでよろしくお願いします!! (2014年11月30日 18時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
yunyun - 合格、おめでとうございます。本当に良かったですね。更新、楽しみにしてますね。 (2014年11月30日 15時) (レス) id: 329a32a11c (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - 雪代さん» ありがとうございます!!! 頑張りますのでよろしくお願いします! (2014年11月10日 22時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/
作成日時:2013年10月27日 21時