ドッペルゲンガー (ページ33)

今日:1 hit、昨日:23 hit、合計:498,651 hit

33 ページ33

あ

簡単な鍋でもすることになって、3人でスーパーに寄ってからジミンの家まで歩いて向かう。

昔よく通ったマンションは、エントランスからして懐かしい。

…よくここでジミンを待ち伏せしたりしたな。

驚かせたくて、連絡なしに勝手に来て待って。

ジミンにいつも怒られた。

女の子がこんな所で一人で危ない、とか、

寒いから風邪ひいちゃうじゃん、とかなんとか。

それでも、最後はいつも嬉しそうに笑ってくれるから、やめられなかった。

…って、忘れようと思った矢先に何思い出してんの。

ばか。

あ

JM｢部屋片付けてないから、散らかってるかも｣

あ

ポケットから出した鍵を差し込んで回し、ドアを開けてテヒョンと私を先に入れてくれる。

足を踏み入れた瞬間、ふわっと部屋の奥からやってきた空気に包み込まれる。

ジミンの、匂いだ。

それに釣られるように、自然と、奥へ奥へと足が進む。

靴を脱ぐのに苦戦してるテヒョンを置き去りにして、人の家にズカズカと上がりこんでいく。

あ

…なんにも、変わってない。

家具の配置も、雰囲気も、匂いも。

一年前のまま。

女の影もなさそうな部屋に、安心する自分がいて戸惑う。

と同時に、思い出のありすぎるこの場所に飲み込まれそうな気がして、呆然と立ってると、ぽんっと背中を軽く押される。

あ

TH｢遠慮ないね、おまえ。さすが。｣

｢え…あ、ごめん。勝手に｣

JM｢くす、全然いいよ｣

TH｢ジミンだめだよ～？甘やかしちゃ。

行儀悪い子になったらどうするの｣

あ

いやいや、あんたは私のお母さんかなんかなの？

テヒョンを見ると、さっそくキッチンでスーパーの袋から野菜やらお酒やらを取り出してる。

ジミンとテヒョンで買ったものを次々出していくから、することがなくて隣で立ってるだけ。

ぼーっと、並べられる缶を眺めてると、ふと見慣れたピンクの缶が目についた。

あ