ドッペルゲンガー (ページ32)

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あ

思わずびっくりしてテヒョンを見ると、

まるで見透かしたように、ほらね、って微笑まれる。

きっと、ジミンふつうでしょ、って言いたいんだろうな。

3人で宅飲みして聞き出そう作戦。

テヒョンが休憩時間に提案した瞬間拒否した私。

この前のコンビニのときが例外だっただけで、普段は険悪な私とジミンだよ。

気まずいに決まってんじゃん。

結局テヒョンに押し切られてしぶしぶついてきたけど。

微かな不安を抱えていたから、まあ、よかった。

スタスタ先を歩く2人の後ろに小走りで駆け寄った。

道中、やっぱり2人はイチャコラしてたけど、2人ともちゃんと話に私を混ぜてくれる。

あ

…なんだか不思議。

別れてからお互い、あんなに避けまくってたのに。

こんなに普通にしゃべっちゃうんだ。

付き合う前。

入社直後のまだまだ若かった頃。

テヒョンとジミンと私の3人で毎晩のように飲みに行った。

屈託のない笑顔を私に向けて話してくれるジミンに、

あの頃を思い出す。

そこには、

例の浮気事件があってからの、

お互い腹になにか抱えたような感じもないし、

付き合って幸せだったときの、

名残があるような感じも全くない。

ほんとに、まっさらの、ただの友達だったときのような。

そんなジミンの笑顔。

そっか。

ジミンはもう、全部なかったことにしたんだね。

大人だな。

まだまだ過去に縋りついてるのは、私だけか。

…ま、そうだよね。

もしかしたらジミンは今、あの時の女の人と付き合ってるのかもしれないし。

ジミンにとって、私と付き合ってたことは、もう思い出の中のことなのかもしれない。

そう思うと、なんだか。

ジミンのことはもう好きじゃないはずなのに、少しだけ＿＿＿。

…もう、忘れよう。

全て水に流して。

あの頃の、お互いテヒョンの友達として出逢った私たちに戻ろう。

そう思うと、なんだかふっと力が抜けて楽になった。

少し感じた寂しさは、見て見ぬふりをした。

あ