ドッペルゲンガー (ページ25)

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あ

いつも通りの時間に会社を出て古びたマンションに帰ってくると、これまたいつも通りにそこにいる彼。

もう見慣れた姿に、躊躇うことなく近づいた。

あ

｢…"ジミン"｣

あ

名前を呼ぶと、

くるっとこちらに顔を向ける"ジミン"。

あ

そう、この前"ジミン"に触れた日から、ひとつだけ変化したことがある。

あ

それは、話しかけると反応するようになったこと。

あ

反応するようになったとはいえ、向こうはただのドッペルゲンガー。

人間じゃない。

なんの表情も読み取れない、無機質な顔に、背筋がぞくっと震える。

気味が悪い。

気味が悪いけど、私は話しかけ続けた。

あ

｢…ねえ、こんなとこで何してるの？｣

"JM"｢…｣

あ

何にも答えない、

というか、答えられない"ジミン"に、

恐怖を振り払って声を荒らげた。

あ

｢ジミンの…ジミンの体に戻ってよっ、｣

あ

精一杯睨みつけてみる。

けど、そんな私に、やっぱり無反応な彼は、

ただただ感情のない顔を動かさず、しばらくして何事も無かったようにこの場を去る。

遅れて震える膝に、その場に座り込んだ。

こ、怖かった…。

ドッペルゲンガーを説得してみる作戦は失敗か…。

まあ、最初から期待してなかったけど。

たぶん何もしてこないとは思うけど、

やっぱりこの世の生物じゃないモノに話しかけるのは勇気がいるよね。

途端に、スマホが震える。

カトクの通知。テヒョンだ。

あ

テヒョンジミンの家で宅飲みなう

あ

変な写真付き。

ふっと笑いがこぼれた。

テヒョンはテヒョンで、ジミンを守ってる。

私だって、"あれ"を早くなんとかしなくちゃ。

一人で奮起してると、急に辺りが暗くなる。

誰かが私の上に影を落とした。

あ