[文スト]兄、姉達は妹が大好きなようです[短編集]

宮沢賢治 リクエスト(心配性) ページ30

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「賢治、この早退届 受諾したが何かあるのか？お前が早退きなど珍しいな
浮き足立っても見えるが…」

「今日は田舎から妹が遊びに来るんです！ヨコハマを案内して欲しいって頼まれてて、僕も妹に久し振りに会えるからつい嬉しくってつい」


Aとの約束の時間が迫って、僕は慌てて支度をする

国木田さん達に、失礼しますと告げて社を出た


ーー


「あ！お兄ちゃん！」


数ヶ月ぶりに聞く声に顔を上げれば、真っ白なワンピースにお揃いの麦わら帽子を被ってお洒落をしたAがいた


「A！大丈夫でしたか？長旅お疲れ様でした！」

「ありがとうございます、お兄ちゃん！でも、お兄ちゃんの方こそ大丈夫ですか…？都会の人は怖いって聞きましたよ？」

「手紙で書いたじゃないですか！みんな良い人ばかりで楽しいですと」

「そうですけど…む、無理矢理書かされていたとか…！お兄ちゃんは優しいから！」

「そんなことありませんよ、Aはやっぱり心配性ですねぇ、ヨコハマを案内して欲しいんですよね？どこに行きたいですか？」


Aはキョトンと首を傾げて悩む素振りをした


「水族館？…遊園地？んー、他に何かあるかな…動物園？どこがいいですか？」

「そうですね…私、遊園地行った事ないです！遊園地行ってみたいです！」


ーーー

夜になるまで遊園地で遊んだ

お化け屋敷で怖がるAも可愛かったし、一緒に食べたソフトクリームも絶品だった


「今日は楽しかったです！お兄ちゃんありがとうございました！」


人混みに飲まれないように僕達は手を繋いで家まで帰る

でも
その途中に見覚えのある2人が…


「太宰さん！国木田さん！」

「ん、賢治じゃないか、未成年がこんな時間まで外出など感心せんぞ」

「すみません、はしゃいでしまって」


Aはそっと僕の後ろへ隠れる様に下がった


「おや、その子は？」

「妹のAです！…A、僕の先輩です！」

「宮沢…Aです…兄がお世話になってます…」


Aが自己紹介すると太宰さんはAの前に屈んだ


「巨躯の男2人が急に現れたら怖いよねごめんね、ほら国木田君も笑顔だよ！
Aちゃんは何歳？」

「12です…」

「1人でヨコハマまで来たの？立派だね！
君のお兄ちゃんとおんなじだ！」

「お兄ちゃんと…？」

「そう、お兄ちゃんは立派だよ
仕事も早い！」


何だか照れ臭かったけど、太宰さん達が去った後、Aが

「いい人たちだね…」

と、笑ったから僕は満足です

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