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「俺はいらないから好きなだけ食べていいよ。あ、一個は一応高田に残しといてくれるかな。あいつが買ってきてくれたものだし」
「でも……」
それならなんで櫻井さんはこのシュークリームが欲しかったんだろう？
食べたかったから以外の理由でシュークリームなんて探すかな。
私がためらっていると櫻井さんが「あー」と声にならない声を出して頭を掻いた。
視線が一度逸れて、戻ってきたときには照れたような顔が浮かんでいた。
「白状すると、それ加西にあげるために探してたんだ」
「えっ……」
「こないだ食べたいって話してるの、聞こえてさ。それで……喜んでくれるかな、と……」
私は目をこれでもかと見開いて櫻井さんを見た。
一方の櫻井さんははにかみながら視線を逸らしてしまう。
え、なんで？
私が食べたいって言ってたから探してくれてたってこと？
……なんで？
「というか……知ってたんですか……」
「二宮と話してるの聞こえてた。……あー、正確に言うと、聞いてたというか……」
じっと櫻井さんの顔を見上げる。
櫻井さんはどこか困ったように眉を下げていたけど、その口角は上がっていた。
「加西の話は気になって聞こえてくるというか」
「！」
なに、それ。
だってそれじゃあ、私とおんなじ。
ますます驚いて目を丸くする。
櫻井さんは驚いてばかりの私に戸惑うように首をかしげる。
「俺からもらうんじゃ要らない？二宮と食いに行きたかったのかな」
「二宮くん？」
今度は私が首をかしげる。
櫻井さんはそんな私を知ってか知らずか手を伸ばすとシュークリームを一つ掴み上げた。
「でも、できれば今食べて欲しいんだよね。そうすれば、二宮と二人で食べに行くっていうのはなくなるだろ？」
口元にシュークリームが差し出される。
櫻井さんの声は低く落ち着いていた。
高田さんと話すときに聞く気楽な男の子っぽい話し方じゃない。
気を遣って伺うような、優しいけど低い男性の声だ。
「私……」
「ほら、食べろよ。二宮と二人でなんて行かせたくないから。もっと食べたいなら俺が一緒に行くから」
「っ」
「二宮とデートになんて行かせない」
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iCHiKA(プロフ) - tubinさん» コメントありがとうございます！そして、嬉しいお言葉をありがとうございます！お楽しみいただけたとのこととても光栄です。今後もお楽しみいただけるよう頑張らせていただきますね！ (2021年8月24日 20時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
tubin - すごくおもしろかったです！！ 無中になって読んでました!! 続きがすごく楽しみです!! 応援してます!! これからもがんばってください！！ (2021年8月22日 20時) (レス) id: 73a03e30c5 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - にゃんちきさん» にゃんちき様、いつもありがとうございます！糖度高めを目指して頑張ったお話でしたが、お役に立てたようで良かったです。こちらこそご賞味ありがとうございました。 (2021年8月21日 20時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちき(プロフ) - 最近疲れ気味だった私には翔さんの甘さが最高のご褒美になりました。ご馳走様でした( ´ω` )/ (2021年8月19日 19時) (レス) id: 64ed16a329 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年8月15日 14時
