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「会じゃ全然ないけど……おごりならいいよ」
「しょうがねぇな、可愛そうな同期のためにそれで手を打ってやる」
「じゃあ行く。可愛そうは余計だけど」
「よし、決まりな。俺が慰めてやるから喜べ」
「嬉しくない」
私が顔をしかめて見せれば二宮くんが喉でクツクツと笑う。
からかって楽しんでるだけなんだから絶対。
でも、腹は立たないし、イライラもしない。
これは私と二宮くんのいつものやり取りだ。
気が楽で楽しいし、ちょっとくらい櫻井さんに近づけない寂しさも紛らわせてくれる。
「悪いけど冷蔵庫に入れといてくれ」
「わかったわ。あ、食べるときには呼んでよ？」
「なんで。もう俺のものだろ」
「お駄賃よ」
そんな声が聞こえたと思ったら高田さんがカツカツとヒールで床を叩きながら休憩室にある冷蔵庫の方へ歩いて行った。
何となく目で追って、それから櫻井さんに目を移したらなぜかバッチリ目が合ってしまった。
「！」
慌てて逸らす。
いや、でも目合っちゃったよね今。
絶対変に思われたよなぁどうしよう。
内心バクバクと心臓が跳ねていたけれど素知らぬ顔をしてメールを送信する。
誤字脱字とかなかったかな、わかんなかったかも。
「加西」
「は、はい！」
いろんな意味でドキドキしながらメール画面を閉じた私はいきなり名前を呼ばれてパッと顔を上げた。
そこには櫻井さんがいて、今度こそばっちり目が合う。
またドキッと跳ねる心臓の音を感じていると櫻井さんの落ち着いた声が耳に届いた。
「悪いけど資料室の整理の仕事手伝ってくれるかな」
「あ、はい、わかりました」
いや、わかってないけど。
反射的に頷いて立ち上がる。
櫻井さんのあとを追って資料室の扉をくぐった。
ここには会社の紙資料が雑多に積まれている。
ファイリングされているものからされていないものまで、正確に全部は把握できてないけどとにかくたくさんある。
扉を閉めた櫻井さんは手ごろな棚を開けた。
途端にバサバサッと紙とファイルが崩れ落ちてくる。
「ここ片づけるの手伝ってくれるかな。こないだ人事の話の時に引っ張り出したらしいんだけど、ご覧の通りぐちゃぐちゃでね」
「……そういえば二宮くんが片付ける時間なくて適当に突っ込んだって言ってましたけど」
「ああ、二宮も参加してたな」
低い声で呟きながら櫻井さんは床に落ちた紙を拾い上げる。
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iCHiKA(プロフ) - tubinさん» コメントありがとうございます！そして、嬉しいお言葉をありがとうございます！お楽しみいただけたとのこととても光栄です。今後もお楽しみいただけるよう頑張らせていただきますね！ (2021年8月24日 20時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
tubin - すごくおもしろかったです！！ 無中になって読んでました!! 続きがすごく楽しみです!! 応援してます!! これからもがんばってください！！ (2021年8月22日 20時) (レス) id: 73a03e30c5 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - にゃんちきさん» にゃんちき様、いつもありがとうございます！糖度高めを目指して頑張ったお話でしたが、お役に立てたようで良かったです。こちらこそご賞味ありがとうございました。 (2021年8月21日 20時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちき(プロフ) - 最近疲れ気味だった私には翔さんの甘さが最高のご褒美になりました。ご馳走様でした( ´ω` )/ (2021年8月19日 19時) (レス) id: 64ed16a329 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年8月15日 14時
