着信履歴 (青)

文句 ページ10

そして月曜日。


『おはようございまーす』


｢｢おはよー｣｣

3人の声が聞こえる。


『あれ？陽斗さんまだですか？』


探していた人がどこにも見当たらず、近くにいた美香さんに問い掛ける。


｢急用が出来たってお昼からになったらしい。

　なんでも本業が長引いてオールのまま来るらしいよ。｣


朝一に文句言ってやろうと思ったのに、

オールのままって聞いちゃうと怒れなくなってしまうのだから仕方ない。



『そんなの、しんどいやろうに……』


｢店長も“休んでいい“って言ったらしいけど移動中に仮眠するから行かしてくれって。｣


｢そうそう、陽斗には午後のデザート担当に回ってもらったんだ。｣


店長の報告にもそうだったんだ。としか言えなかった。



｢悪いんだけど、陽斗がやってくれてたポップ書き、Aちゃん出来そう？｣


『任せてください！メニュー表お願いします』



日替わりといっても曜日で変わるのではなく、


店長の気まぐれメニューのランチセットとデザートセットは毎日ポップ書きして張り出す。



そういった細かいところがマルガリータのこだわりであり、従業員の手間らしい。



＊



お昼になって混んで来た頃、店に陽斗さんが現れた。



その顔色は悪く、目もどんよりとした空気をまとっていた。




｢Aちゃん、お客さん廻ると思うから厨房で皿洗いよろしく！｣


レジをしていた美香さんにそう言われ厨房へ向かう。




ちょうど満席でこれから順に帰られるのに備えて、

流しにある食器を洗って行く。




そこに陽斗さんがエプロンを着けながらやってくる。




『陽斗さん、顔色悪いけど大丈夫なんですか？』



｢うん、ちょっとね、朝帰りで寝れてなくて｣


デザートに使うホイップクリームを作り始めた陽斗さんに視線だけ向ける。


『休みながらでいいですからね。辛くなったら昼休み薬でも買ってきますから。』



私なりの心配の言葉に“頼もしいな“と笑って答える姿は

顔色は別にしても、意外にも元気そうで。




朝帰りの仕事に慣れてるんだと悟った。

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