Bang！【逆先夏目】 (ページ1)

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「進路相談のプリントを配ります。金曜日までに記入して提出するように」

手元に回ってきたプリントは第4志望まで大学が記入できるようになっている。

もう既にさらさら書いている人もいる。高校3年にもなるとそりゃそうだよな。

私の通っている高校は所謂進学校であり、名の知れた大学を志望とする人も多い。模試では私も結構有名なところを書いている。

でも、

とシャーペンで1度そのプリントをつついて、クリアファイルにしまった。

「じゃー授業始めます。きりーつ」

1時間目から数学とか。しんど。心の中でごちてみる。嘘。しんどくない教科なんてない。

前を向くと何人かうつらうつらとしているのが見えた。あの先生寝てても注意しないからそこが逆に怖い。

と、教室内に急に風が吹いて来た。誰かが窓を開けたらしい。プリントがバサバサと舞っている。

「きゃー！」

一部の女子の甲高い悲鳴と、先生が閉めて閉めて！と焦る声。教室は一瞬で混沌と化した。

そんな中。

逆先夏目くん……クラスでも頭脳明晰、容姿端麗、運動神経良しと三拍子揃った彼と目が合った。

何を思ったのだろうか、美しい琥珀色の瞳を細めて指で銃のような形を作り、Bang！と私を撃った。

誰も気付いていない、が、彼は何をしたかったのだろう。

もともと話したこともなかったのだが、1日その事が頭から離れなかった。