１８.ラブコール ページ18
全く今日はどうしたのだろうか。
わたしは目の前に座って、コーヒーを飲む人物に視線を向け、心の中で首をかしげる。その人物は、わたしの視線に気がつくと、嬉しそうに微笑んでウィンクをしてきた。
「どうしたのレディ。オレに見惚れちゃった？」
「いや、そういうわけじゃ」
「照れ屋さんなんだね」
「ちがう」
同じクラスの神宮寺レンくんは、空港でわたしのことを見つけるなり、物凄い勢いで詰め寄ってきて、無理やり近くのカフェに連れ込んできたのだ。どうやら、わたしに話があるらしい。
「それで、話ってなに」
時間もないので単刀直入に訊くと、神宮寺くんは「あぁ」と思い出したように声を洩らし、爽やかな笑みを浮かべながら顔を近付けてきた。
「実は、レディにお願いがあるんだ」
「お願い？ 神宮寺くんがわたしに？」
「そう」
不審げに顔を顰めるわたしを見て、神宮寺くんが苦笑する。だって、一ノ瀬くんもそうだけど、彼のようなカースト上部の人がわたしにお願いがあるなんて信じられない。そう、わたしにお願いだなんて......ん？ お願い？
デジャブのような感覚。そこまで考えてはっとする。頭に思い浮かんだ予想は、あまりにも罰当たりじゃないかと思うが、念のため口に出して聞いてみる。
「......変なこと訊いてごめん。それって、オーディションのペアのこととかじゃないよね」
「いや、そのことだよ。子羊ちゃん」
「え？」
「キミにペアになって欲しいんだ。お願いできないかい？」
イケメンオーラの暴力がわたしを襲う。耐えきれずに下を向いたら、顎を掴まれて上を向かされた。
目の前にはびっくりするくらいの美形の真剣な顔。こんなの、好きじゃなくても顔が赤くなってしまう。
「ーーオレは本気だよ」
「え、あの。神宮寺くん......」
「正直、キミ以外にペアは考えられないんだ、Aちゃん」
頬に何かを押し当てられる。離れたときに聞こえた音に、キスされたのだと気付いて、叫び出しそうになる。ハレンチだ。
「本当は今すぐにでも返事を聞きたいけどね、他にも申し込みは来てるだろし、考える時間をあげるよ。キミがオレを選んでくれるって、信じてるから」
もう一度キスされそうになったので、それはなんとか阻止することに成功した。そうしたら、不満そうな顔をした神宮寺くんを見つめながら、わたしはこれから自分はどうするべきなのか考えて、申し訳なさで、気が遠くなりそうだった。
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環(プロフ) - ラビットハッチさん» コメントありがとうございます！ 本当ですか！ とっても嬉しいです〜！ こちらこそ、ありがとうございます！！ 励みになります！ (2016年12月19日 3時) (
レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
ラビットハッチ(プロフ) - わー！ずっと待ってた甲斐がありました！すごい環さんの作風が大好きで、更新されるのを今か今かと待ってました！更新ありがとうございます！ (2016年12月19日 1時) (レス) id: 7cb82700e8 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 翔くん大好き！！さん» コメントありがとうございます^ ^ 励みになります！ 更新頑張りますね！！ (2015年7月25日 10時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
翔くん大好き！！ - 面白くてこの作品大好きです！！更新頑張ってください！！ (2015年7月25日 9時) (レス) id: dca90fa2b6 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 夢さん» コメントありがとうございます^ ^ そういっていただけると、すごく嬉しいです〜！！ 更新頑張ります！ (2015年7月14日 22時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：環 | 作成日時：2015年3月10日 0時
