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14.小さなヒーロー ページ14

重い。

そう思って目を開けたら、わたしは自分のベッドに横になっていて、その上には来栖くんがちょこんと頭を乗せて気持ち良さそうに寝息を立てていた。起き上がろうと体を動かす前に自分の手に違和感を感じて視線を向けると、来栖くんの少し大きな手がわたしの手を優しく包み込むように握っていた。

ーーえっ?

あまりの衝撃に身体が僅かに揺れる。その微かな動きを逃さずに、来栖くんはガバッと起き上がると、わたしの顔を食い入るように見つめた。

静かな室内。この部屋には、来栖くんとわたし以外はいないようだ。

「いつから、ここにいてくれたの?」

視線を逸らした来栖くんが「別にいいだろ、いつからでも」と、何故か責められた子供のように口を尖らせた。

「......それより具合大丈夫なのかよ」
「具合? あっ、うん、大丈夫だよ」

そう言うと、何かを確認するようにじっと瞳を覗き込んできた来栖くんは、やけに真剣な表情で近づいてきて、

「ーーA」

一瞬、時が止まったみたいだった。

伸びてきた腕にそっと引き寄せられ、肩口に顔を押し付けられる。
現実が受け止めきれず、わたしは情けない声で来栖くんの名前を呼んだ。

「く、るすくん......?」

懐かしい温もりに思考が停止している間に、背中にまわされた腕の力がより一層強くなったのがわかった。
密着しているこの状況に頭が混乱して、ついでに心臓も口から出そうなくらい激しく飛び跳ねている。

「倒れたって渋谷に聞いてから、直ぐに駆けつけて、そんでお前が起きるのずっと待ってた」
「ま、待ってた? なんで......」
「心配したからに決まってんだろーが」

両肩を掴まれて、引き離される。瞬きをして目を開けた次の瞬間には、目の前に来栖くんの顔があった。
来栖くんはわたしの顔を見て、驚いたように瞳を見開いてから、ふわりと微笑んだ。

「やっぱ俺が来て正解だったな。全然大丈夫じゃねーもん、お前」

その言葉を聞いた途端、目の奥が一気に熱くなって、視界がじわりと滲んできた。大丈夫だと思っていたのに、来栖くんのそんな優しい表情を見たら我慢できなくなって、熱いものが瞳から零れ落ちていく。

来栖くんは、ずるい。
そうやって、何度もわたしに恋をさせるんだ。

「俺しかいないからさ、泣いていいぜ」

もう一度抱き締められて、片手で何度も頭を撫でられる。
わたしは自分がなんでこんなに泣いているのかわからないまま、ただ子供のように泣きじゃくっていた。

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(プロフ) - ラビットハッチさん» コメントありがとうございます! 本当ですか! とっても嬉しいです〜! こちらこそ、ありがとうございます!! 励みになります! (2016年12月19日 3時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
ラビットハッチ(プロフ) - わー!ずっと待ってた甲斐がありました!すごい環さんの作風が大好きで、更新されるのを今か今かと待ってました!更新ありがとうございます! (2016年12月19日 1時) (レス) id: 7cb82700e8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 翔くん大好き!!さん» コメントありがとうございます^ ^ 励みになります! 更新頑張りますね!! (2015年7月25日 10時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
翔くん大好き!! - 面白くてこの作品大好きです!!更新頑張ってください!! (2015年7月25日 9時) (レス) id: dca90fa2b6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 夢さん» コメントありがとうございます^ ^ そういっていただけると、すごく嬉しいです〜!! 更新頑張ります! (2015年7月14日 22時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年3月10日 0時

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