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30.弱さを隠す嘘 ページ30

「あれ、A」

練習も終わり、帰る準備をしているとき、隣りで一緒に片付けをしていた同じ学年の部員である明木くんがふいに話しかけてきた。なにやら目を輝かせて、興味深そうにわたしの顔と鞄を交互に見ている。

「...ん?なに、どうしたの?」
「おいおい、しらばっくれんなって!お前、今日上坂さんからチョコ貰ってただろ。ね、告られた?」
「貰っただけだよ、告られてなんかないって」
「まじかよ!でもいいなぁ、俺なんて一つも貰ってないんだけど」

ちょっと、マネージャーからのチョコはカウントされてないの?、と若干目を細めてそう言うと、ハッとしたように顔を顰めた明木くん。その表情が面白くて思わず吹き出してしまったわたしに、こんどは明木くんがわざとらしく口を膨らませて目を細める仕草を見せてから、つられたように笑い出した。

こんな格好をしているせいで、まぁわたしが隠してるせいもあるけど、明木くんを含めほぼ部員全員がわたしを男の子だと思っている。そして、それは部活だけ限った問題ではなく、学年でもわたしのことを男の子だと思っている人のほうが多いのだ。だから、今日のみならず、日頃から告白をしてくる女の子も僅かながらにいた。

ーーーあの女の子たちやみんなに本当のことを言える日は来るのだろうか。わたしは今までみんなのことを騙していたんだよ、と。

今日貰った数個のチョコを見ながら、心の中でそっとそう呟いてみる。胸がズキズキと痛んだ。

わたしは自分の弱さを隠すための嘘をついて、周りを騙しながら毎日暮らしている。そんな今の生活にいつかは区切りをつけなければいけないとわかっているのに、いつも先延ばしにしていた。だけど、やっぱり。

「やっぱり、今日で最後にする」
「......え?なんか言ったか、A」
「あ、ううん。なんでもない」

不思議そうな顔をしている明木くんにそう言って微笑むと、今度は後ろから聞こえてきた声に心臓がドクンと跳ねた。

「Aっち、一緒に帰ろ」
「......黄瀬くん」

ーーー今日で区切りをつける。結果はどうであれ、もうそろそろ限界だと思うから。

わたしは大きく頷いてから、鞄の奥にしまっていた手作りのクッキーをとギュッと握りしめた。

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作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - たくっちさん» コメントありがとうございます〜!! そう言っていただけると嬉しいです! ほんとにありがとうございます!! (2015年12月29日 22時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
たくっち - めっちゃ良い話じゃないですか。感動しました!これからも感動するような作品よろしくお願いします。応援してます! (2015年12月27日 18時) (レス) id: 14821b434b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 朱いメダカ@ペンタブ禁止令さん» コメントありがとうございます^ ^ そういっていただけると、すごく嬉しいです〜!! ありがとうございます! (2015年5月12日 0時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
朱いメダカ@ペンタブ禁止令(プロフ) - 今日読み始めて一気に最後まで読んでしまいました!!凄くキュンキュンして泣けて…凄く面白かったです!! (2015年5月11日 23時) (レス) id: edbb06b586 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - にょんさん» コメントありがとうございます^ ^ ほんとですか!? すっごく嬉しいです、ありがとうございます!! (2015年5月7日 23時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年2月15日 11時

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