甘 い 恋 と 重 い 愛

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『 じゃあ、いってくるね 』





猫ちゃんと共に家を出て、私はいつも通りの日常へ















…………なのに




玄関には、また昨日みたいに猫ちゃんが居た








『 あれ、帰ってなかったの？ 』




「 にゃ〜 」 って目を細める姿に、" おかえり " って言われてる気分になって笑ってしまった





今日も一緒に " ただいま " して、ミルクをあげて、あのクッションでゴロゴロする猫ちゃんに、まだ二日目なのにとても親近感を抱いてしまった













それがもう一ヶ月も続いてしまった







『 蘭くん、ただいま 』





猫ちゃんのことを " 蘭くん " と呼ぶくらい、似てる部分が多くて困ってる





せっかく忘れようとしてたのに…





ご飯を食べた後の反応とか、寝起きの無愛想に目を擦ってる姿とか、撫でてあげた時に歯を見せて笑う姿、そしてクッションを気に入ってる様子



ふいに思い出して嬉しくなったり寂しくなったりする










『 蘭くんってどこから来たんだろうね 』





キラリと光るネックレスに、飼い主さんに申し訳ないと思いつつも、もう離れたくなってしまってる




きっと愛されてたんだろうから













『 欄くんサッカー好きだよね 』



「 ……ありがと 」



『 雑誌なんて久々でしょ? 』



「 スマホばっかだったからね 」





『 デジタルデトックスって言うんだって 』












─────────また蘭くんの夢…





忘れる努力って難しいなぁ








『 サッカー… か 』








その日の帰りに蘭くんにサッカーボールに似てるおもちゃを買ってあげると目を輝かせて遊んでた




『 ふふっ、そんなにたのしい？ 』





「 にゃ〜 」


『 よかった 』










家に増える猫グッズが一緒に居る長さを物語る










『 蘭くん私と一緒に居てくれるの？ 』




「 にゃ〜 」



猫ちゃんの言葉なんて分かるわけがないのに、何故か同意してくれたのだと感じてしまった







涙が溢れる私に寄り添ってくれる




" 大丈夫だよ "

そう言ってくれてるようで……







その日はそこで一緒に寝た







温かくて苦しい夢を見て魘されることもなく、ゆっくりと深い眠りにつけた












「 誕生日おめでとう 」








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