しえんと とぅれいんた い とれす ページ35
『んんん゛…』
寝返りを打った。さらさらのシーツが気持ちよくて、思わず笑みが零れる。
あー、今何時だろう。あと10分…いや、15分くらい寝かせ…ん？
『やばい！！！』
絶叫が部屋に虚しく響いた。私は勢いよく起き上がると目覚まし時計を見た。
予想通りギリギリの時間。私は『クィリナス、なんで起こしてくれないんだよ！！』と叫びかけて頭を抑えた。
いるはずがない。そりゃそうだ、今頃冷たい湖の中だろうし…それに加えここは私の部屋なんだから誰も来るわけもない。
私は寝癖を押さえつけながらベッドから飛び降り、目にも留まらぬ速さで支度をすると部屋を飛び出た。
『クィリナスがいりゃ乗っけてもらうのに…！』
喚きながら校庭まで走っていると、前の方にハリーが見えた。
『ハリー！おはよう！』
ハリー「A！？何でここにいるんだ、もう始まるぞ！？」
『その言葉そっくり返すよ！』
私達は笑いながら並んで走り出した。全速力で審査員席に近づくと、非難がましい声が飛んでくる。
パーシー「一体どこに行ってたんだ！？」
バグマン「まあ、息くらいつかせてやれ！」
ハリー「…君は寝坊だろ？」
『なんのことかな』
ハリーはぜえぜえと息を切らしながらも私にチクリと言った。
アーロン「やあ、ラミアー。困ったことになったらいつでも僕に助けを求めてくれていいからね」
『あなたもね』
私が言うと、向こうでフラーが少し笑った。
バ「さて、全選手の準備が出来ました。選手たちはきっちり一時間のうちに奪われたものを取り返します。では、いち…にー…さん！」
ホイッスルが冷たく静かな空気に鋭く鳴り響いた。
私は慌てて服を脱いだ。中に着ているのはまっ黒の水着で、会場中から無駄な歓声が聞こえてくる。
手を振って観客を煽ってみると、「調子に乗らないでください！」なんて声が聞こえるような気がした。
ほかの選手はもう殆ど湖に飛び込んでいる。残っているのは私とハリーの2人だけだ。
私は杖を取り出し自分に向けた。
『サーペンス・トラーンスフィグーラーティオー』
青白く眩い光が私を包み、また消えていく。
そこからぼんやりと見え始めるのは鱗に覆われた私の姿だった。
一瞬の静寂のあと、わっと込み上がるような拍手の音。
エラ昆布を食べながらぽかんとするハリーにウインクをして、私は息を吸いこみ、湖に飛び込んだ。
霧のかかった景色を、小さくきらめく魚と一緒に泳いでいく。そのうちに水草の茂みが見えてきた。
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ユーレイ(プロフ) - 羽音さん» メッセージ、イラストともにありがとうございます！楽しく拝見させてもらいました。自分の小説からイラストまで書いていただけるなんて本当に嬉しいです。ありがとうございます！ (2019年6月1日 23時) (
レス) id: 44ca875d76 (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - mikittyさん» 素敵なコメントにこちらこそニヤニヤしました……この焦れったい感じが書くのが楽しくて、どうしても長引かせてしまいます笑 (2019年6月1日 23時) (レス) id: 44ca875d76 (このIDを非表示/違反報告)
羽音(プロフ) - メッセージに書いていたURLです！→http://uranai.nosv.org/img/user/data/0/9/a/09ad2710a06e0237527c6512112dc071.png (2019年5月31日 21時) (レス) id: d257d5a444 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新されているとニヤニヤしちゃうくらいに好きです…お互いに焦れったい感じがたまりません！セブルスという人物をとても細かく丁寧に描いている素晴らしい作品です。これからも楽しみにしています！ (2019年5月31日 1時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - パンジーさん» 空きコマのお供にしてもらえてよかったです！！(！？) さらに面白いと思って貰えるような展開にできたらと思ってます。楽しいコメントありがとうございました！ (2019年5月30日 21時) (レス) id: 44ca875d76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：O
| 作成日時：2018年10月23日 12時
