小動物系少女の本性

なな。 ページ9

クルーウェルside




最近、受け持つクラスの仔犬から、妙な噂を聞かされた。


"Aがオンボロ寮の監督生を虐めている"



ごく一部で出回っている噂のようだが、俺にこの件を相談してきたのは紛れもなく当の本人、監督生だった。

相談がある、と朝のHR終わりに言いに来た監督生は、両脇にトラッポラとスペードを従えて、その日の放課後、魔法薬学室へやって来た。




「わ、わたし…っA先輩に、何かしちゃったんですかね…っ？」




招き入れて話を聞いてみれば、その仔犬は泣きながらそう言った。
ただでさえ嫌いな面倒事を、しかも最近の悩みの種である監督生に相談され、正直頭を抱えたくなった。
とりあえず、詳しく聞こうと促す。


Aに嫌いと言われた、Aに靴を隠された、Aにetc.

と、まあ…要はAとトラブルになっている、という事だった。


ひとまず話を聞いて落ち着かせたところで、仔犬達を帰した。









というのが3日ほど前に起きた一連の出来事。



コンコンコン


魔法薬学室で、今日の授業で使用した材料を片付け、一息つこうと珈琲を淹れた所で、ドアが控えめに三回叩かれた。

扉を開けば、噂の渦中にいる仔犬…Aが立っていた。




『あの、ちょっと聞きたい所があって、お時間大丈夫だったら教えて欲しいんですけど、大丈夫ですか？』

「なるほど」




たまにキングスカラーとサボる事があるものの、本来勉強熱心な彼女は、俺のところだけではなく、他の教師のところへも頻繁に質問に訪れる。
come,と室内に招き入れ椅子に座らせて、自分もコートを脱いで向かいに座る。

持ってきた教材と綺麗に纏められたノートを広げて、ここなんですけど…とペンで指された所を覗き見る。




「Well…あぁ、今日やった事の応用だな」





週に一度程度の、一対一の特別授業が始まった。

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