32.黙っていられない、けれど ページ32
．
「行きますよ」
俺の話をじっと聞いていたニノが
すっくと立ち上がった。
「行くってどこへ？」
「大野さんのところへですよ！！決まってるでしょ！」
「ええっ！？」
「『婚約者』だなんだと強引に迫ってくるイケメンが一緒だと分かってて
放っておいけないでしょうが！」
「そ…そうだけども」
ニノの迫力に気圧される。
俺だって追いかけようかと思ったけど
ちゃんと学校いきなさいって言われたから我慢したし
それに……
「大ちゃんの実家ってどこか知らないよ？」
「あっ」
ニノがしくったって顔をした。
どのあたりかっていうのは聞いたことはあるけれど
住所まで知らない。
きっと俺と同じはず。
「Ｊ！」
俺たちを、顎に指をやって静観していた松潤。
「大野さんの実家の住所知ってますよね！？」
「……ああ、一応
伯父さんに聞けば分かると思う」
松潤の伯父さんというのは、このシェアハウスのオーナーだ。
「だったら今すぐ聞いてください」
「……無理だな」
はぁと息をついて、松潤は立ち上がる。
そして、冷蔵庫に向かった。
中から冷えたビールを取り出しながら
もう一度こっちに振り向く。
「個人情報だぜ？ 簡単に教えてくれるはずない」
「でも！！」
「それに……」
目線を落として、ぷしゅっとプルトップをあけ
松潤は再び、息をついた。
「今現在、智と付き合ってる恋人って言うならまだ知らず
ただの同居人ってだけで、追いかけたところでどうなるもんでもないだろ」
「！」「！」
.
33.何も言えない俺と二人の攻防→←31.菩薩には逆らえません
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 535人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たると
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/tarutolist01/?plid=tarutoamnos...
作成日時：2018年7月4日 19時
