Blue Ocean ～青色王子に夢中～ (ページ38)

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とある新米探偵の誤算５ページ38

「うっわ…マジ倉庫じゃん」

棚という棚に詰まれた備品の数々。
窓もない薄暗い部屋。

人のいる気配もない空間に俺は首をひねった。

「場所、間違えた？」

とりあえず、奥に繋がる方向へ進んでいくと、少し空間が広かった。

でかい作業台が置かれていれて、その向こうにはパソコン。
そして飲みかけのコーヒーが入ったマグカップ。

確かに誰かがいるみたいだ。

それを確認したときに、コツンという僅かな音に気づいた。

(上？)

パソコンデスクの横と、通ってきた方向にある二つの階段に気づいた。

「すみませ～ん」

上に向かって声を掛けた。

しーーーーーん

あれ？

「すみませ～～ん！」

しーーーーーん

(またかよっ)

俺の声の合間を縫って、コトリ、コトリという音は続いていた。

人間の返事だけがない。

構わず、上へあがることにした。
革靴で金属の階段を鳴らしながら、音のする方へ向かう。
昇りきったところには、ありとあらゆるものが溢れた中に、また小さな作業台。

そして、そこに座る華奢な男の背中を見つけた。

(やっぱりいるんじゃねぇか)

途端に返事がなかったことにムカついた俺だったが、そこはプロの探偵。
今は、仕事が優先だ。

あらためて、その人影に向かって声をかけた。

「こんにちは。勝手に上がってきてしまってすみません」

しーーーーーん

(え？)

「すみません？」

しーーーーーん

俺のことなど、完全無視の背中。
コトリコトリという作業音だけが続く。

「おいおい…」

とことんムカつくヤローだなっ