Blue Ocean ～青色王子に夢中～ (ページ36)

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とある新米探偵の誤算３ページ36

次の日。

調査が早速始まった。

担当になったのは、俺。

ただの会社員、しかもセキュリティ会社とくれば怪しい人物など入社すら無理な話なので、真っ当な人間なはず。

そんな奴の身辺調査なんて、新米一人にまかせりゃいいというのが、天然パーマの判断だった。

「それでも、ナメてかかってったら、痛い目にあうぞ。慎重に行けよ」

(はいはいっと)

んな大げさなこと、あるわけないじゃん。
だたの身辺調査っしょ？
女の影がるとか、女癖が悪かないかとか、変な趣味ないかとかさ。

ヤローの素性調べたって、クソ面白くもないだろうけど、さ。

まぁ、駅前のティッシュ配りよりはマシだわな。

俺はスーツ姿に銀縁眼鏡をかけ、一応『一流企業の総務担当者』という役に変装して、ガラス張りのビルの前に立っていた。

手元には、お嬢様が生まれて初めて、気絶寸前の勇気を振り絞ってゲットしたという、そのターゲットの名刺があった。

「東京総合セキュリティ、榎本径、ね」

さぁて、どんなヤローか拝みに行ってやるかぁ。

＊

受付の美人なお姉さんに、笑顔で自分の仮の身分を伝え、今度自社ビルのセキュリティ強化を考えているので、専門の人に面会したいと話した。

そのときに、榎本の名刺を差し出し、紹介を受けたと告げる。

にこやかに対応していた受付嬢が、名刺を見た途端、困惑した表情を浮かべた。

「あの失礼ですが、榎本を紹介されたと？」

「はい。セキュリティ技術に関して特別なスキルをお持ちだと伺っています」

「特別なスキル、ですか。確かに…」

「何か不都合でも？今日はご不在ですか？」

「あぁ、いえ、申し訳ありません。榎本なら、アポイントも受付も通していただかなくても、大丈夫でございます」

は？

「少し、わかりにくい場所ではありますが」

受付嬢は、また平常モードに戻り、笑顔をたたえて、地下へつながるエレベーターへの案内を丁寧に説明してくれた。