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放置したままだ ページ8

「…ごめん」


全員からの視線に気付き、Aは反射的に謝る



「…分かった、戦いはなるべく避けよう。其奴の特徴を教えてくれ」



真面目な表情へと切り替えた小平太は尋ねた



「……細身で長身、額に横一直線の大きな傷がある。顔が見えなくても一人だけ異様な雰囲気を放っているからすぐに分かるはずだ」



それから、とAは続ける



「近付くのも避けてほしい、遠くからでも奴を見つけたらすぐその場を離れてくれ」





眉間に皺を寄せるAを見て、そんなに強いのかと小平太は考える



あの桜田Aが怯え、こんなに言うほどの男




やはり手合わせしてみたい


頭の中で未知の実力者との戦闘を想像し、小平太はそっと舌なめずりをした





「あと二人要注意人物がいる。時間が無いから巻きで話すぞ」




そう言ってからAは残りの二人_自身の同期、そして後輩の説明を始めた



「まず一人はくノ一だ。気配を消すのも察知するのもとても優れていて、よく寸鉄を使っていたが…この中に寸鉄を得意とする者はいるか?」



はい、と兵助が手を上げる



Aは兵助へ体を向けた



「兵助、もし背が低く髪を団子状にまとめているくノ一に遭遇したらなるべく寸鉄は使わないように気を付けてくれ」


「何故ですか?」


兵助は僅かに首を傾げた



「寸鉄を得意とする者は少ないだろう。好戦的な彼女は自身と同じ武器を得意とする者と積極的に戦闘をしたがる、しかも全力で」



「なるほど、だから…」



「そう。戦闘で得意武器を使うなと言うのも酷だが…優秀なお前なら他の武器でも十分戦えるだろう?」



その言葉に兵助と周りの者がほんの少し目を見開く



「は、はい!大丈夫です」


「なら良かった。さっきも言ったが、奴は気配を消すのも察知するのも優れている。十分に気を付けてくれ」



全体を見回してから、Aは再び口を開いた



「そしてもう一人は扇を持った背の低い男。他の男に比べてかなり若く見えるからすぐ分かると思う。
こいつは薬学に精通していて毒薬を多く使う」



その言葉に伊作が反応する



「そいつがよく使う毒薬は?」


「奴は独自でいくつも毒薬を作っているから分からない。でもその解毒剤はいつも全員に渡しているから、皆も死体の胸元を漁ってみるとい…あ、」



突然話を止めたAの顔を伊作が覗き込む



「どうしたの?」



「…さっきの男の死体、放置したままだ」

私に考えがあるのですが→←其奴に目をつけられたら死ぬと思え



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作者名:たると | 作成日時:2022年5月8日 19時

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