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それ、学園長にも同じこと言われたぞ ページ12

「あ、亜月さん、それ」


火薬倉庫から必要な分の火薬を運び出し、侵入されないよう扉を補強していた兵助は通りかかったAに駆け寄った



「私達と同じ装束ですね」

「ああ、学園長にお借りしたんだ」

「なるほど、なんだか同級生になったみたいで嬉しいです!」



兵助はにこやかに笑う




Aの心臓が痛んだ



Aは返答せずに、手元の物を差し出す


「食堂のおばちゃんが握ってくれたおにぎりを届けに来た。作戦開始まであと一刻だから、今のうちに食べろとのことだ」


「わ、ありがとうございます」


「それじゃあ…」


「へいすけ〜!」



また後で、と続けようとしたAの言葉を駆けて来た八左ヱ門が遮った



「あっ、すみません取り込み中でしたか」

「いや、丁度離れようと思っていたところだ、気にするな」



そう言って歩き出そうとしたAを見て、八左ヱ門はあっ、と声を出した



「亜月さん、五年生の制服ですか!」


「え、ああ。激しい戦いになるだろうから、ちゃんとした忍装束がいいと思って」


「似合ってますね!」


「…それはどうも」



八左ヱ門の勢いに押されて、Aは若干仰け反る



「八左ヱ門、えらく嬉しそうだな」


「だってまさか亜月さんが五年生の制服を着るとは思わないだろ。凄い心強いし、団結力生まれるなーって思って」


「それ、学園長にも同じこと言われたぞ」


「…まじかぁ」



Aの言葉に分かりやすく肩を落とす八左ヱ門

それを見て兵助は笑う



笑い合う二人を見て、Aの心臓が再び痛んだ



そっと目を伏せる


もうすぐ戦が始まるというのに、死人が出るかもしれないのに、なぜそんな笑顔を浮かべられるのか

こうなったのも私のせいなのに、なぜ仲間意識を持つのか




Aはずっと罪悪感を感じていた

突然学園へやってきて仕事をして警戒させて、馴染んできたと思ったら突然正体を明かされて戦闘に巻き込まれて

いっそのこと冷たく突き放して責めてくれればいいのに、記憶が無い間も、戻ってからのこの短時間でも、受け入れて対等に接してくれる彼らの優しさはAを助け、そして惨めな気持ちにさせた



(元凶である私がやるべき事はただ一つ。この学園を、全力で守るだけだ)






真っ暗な空に分厚い雲が薄暗く浮かんでいる


今夜は戦闘日和だ

そういう時はすまないじゃなくてありがとう、な→←生徒と同じ方が団結力も感じるだろう



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作者名:たると | 作成日時:2022年5月8日 19時

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