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増える足音の怪 その拾弍 ページ22

『ギ…ア…アァ…ア…!!!』

不自然な動きと声が漏れ、影が襲う

その影を避け、影を掴むと切り落とす

切られたところから黒い煙影が出て、その影が形を成す

「させないよ」

下に映った影に包丁を突き刺した

すると何故か煙影は霧散する

「怨みが大きすぎたのか、それとも他の理由か…どちらにせよその大きく膨れ上がった体は影の中まで続いているみたいだね。
上の影のほうが虚像。本体は下とその小さな人形デショ?違うかな?」

にっこり笑って言うと、影が素早く襲う

それを軽々と飛び上がり避けて、影を踏み台とし大きくなったたくさんの顔へと走り寄る

「図星、みたいだね」

一つの顔に包丁を突き刺す

そして一気に上へ引き上げ、切り裂いた

ゆっくり、そして鋭い声が脳に響く

『…ナ…ンデ…人ヲ…マモる…アんナ…ヤツらヲ…』

ノイズ混じりの声が花子の脳で聞こえる

その声に花子は目を細め

「それが俺の役目だから」

一言 言葉を投げた

本体に、中心に包丁を刺し

「恨みが強すぎるのは、自分の身も滅ぼすって言うんだよ。
君が何に怨みを持っているのかなんて知らない。


だけど」


そこで言葉を区切り、顔を近づける

その目は満月の様に輝き、中に怒りが揺れた





「俺の大切な人を傷付けるなんて、許さないよ」




一線、下へと切り裂く

人形は断末魔を上げながら膨らみすぎたその怨みが炎となってその身を焦がす

その炎は黒く、周りのものまで焦がしそうなくらいの熱さ



そして人形は跡形もなく消え去った



________

「みんな、大丈夫!?」

完全に消えたのを見届けてから、ヤシロ達に駆け寄った

「花子くん…私は大丈夫だけど…太郎さんとヤコさんが…」

少し震えた声で寧々が花子に言う

太郎はぐったりと倒れ、ヤコは疲労困憊の様子が見られる

「ヤコ、土籠、ありがと。助けてくれて」

後ろに手を組み、伏せ目がちに言うと

「別に、この学園の怪異の秩序を正しく保つのが七不思議だってあんただって言ってたじゃない。
それなのにあんただけに任せっきりにできるわけ無いじゃないの。馬鹿ねぇ」

「そーですよ。あんなのがこの学園に居付いたら困るのは人間だけじゃァない。我々だって迷惑するんですから」

それぞれが苦笑しながらそう言って花子の頭に手を置く


その手は温かくって懐かしい そんな気がした


花子はその二人の行動に少し驚いたような顔をしたものの、どこかホッとしたような顔で小さく「ありがとう」と呟いた

まっくらくら→←増える足音の怪 其の拾壱



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白夜の幻想者 - あいうえおさん» あ、そうでしたね…!ご指摘ありがとうございます…! (2019年4月7日 14時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 花子くんはヤコさんのこと「二番」って言っていたような気がします (2019年4月7日 0時) (レス) id: 297e0956e6 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の幻想者 - 透空さん» えと、ごめんなさい…いろいろあって一個だけしか更新できなかったです…今はどうにか一段落したのでそちらも続けられます…! (2019年3月4日 7時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
透空(プロフ) - ごめんなさい、突然…。合作のことなのですが、続けられますか?私はどちらでも良いので白夜さんが決めて頂ければと思いまして…。少し考えて頂けたら嬉しいです。 (2019年3月2日 13時) (レス) id: 3bf9f61dac (このIDを非表示/違反報告)
白夜の幻想者 - 最近ネタが浮かばないこの頃です。更新が全然進まず申し訳ありません! (2019年2月16日 11時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白夜の幻想者 | 作者ホームページ: ないよー  
作成日時:2018年9月25日 22時

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