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Episode18 本気なのは ページ12

一条side

Aが京極組に入って3ヶ月、教育係の相良にパフォーマンス的な面もありつつパシリにされてるのを見て、一条は気が気でなかった。
だが、そこでもっと優しくしろだのと口を挟むのはお門違い。あのシゴキは若いうちに厳しさを教え込む必要があるからやっているのもあるし、京極組の伝統的なものでもあるからだ。それでも殴ったりしていないだけ優しい方だった。

そしていよいよAを初めてカチコミへ行かせるという話を聞きつけた。正直なところ行ってほしくはないが経験も積ませなければならないし、親の言うことは絶対だ。
無事帰ることを祈って待つしかない。
無事にカチコミを終えたらしい事を確認してから、一条はタバコを買いにコンビニへ出掛けた。
その帰り道の事だった

一条(あれは…野島と…A…?)

同期同士で食事なんて別段珍しいことでもなんでもない。だが一条にはその光景が非常に嫌なものに映った。いつの間にそんなに仲良くなっていたのか二人きりで、楽しそうに、笑いながら。

一条(へぇ…随分と仲良くなってんだな…)

何を話しているのかは全く聞き取れないが野島と一緒に楽しそうに笑うAの姿が目に焼き付く。そこまではまだ良かった。
だが次の瞬間、どういうわけか野島がAの右手を握った。

一条(あぁ…?)

そうして少しなにか話した後、野島とAはその場で別れていった。
その時の野島の様子を遠目で見ていてわかった。恐らく一条と同じで野島は純粋にAに思いを寄せている。

一条(だったらやべぇじゃねぇか…)

ただ変なやつから守ることだけで、近くにいれたら良い…そう思っていたが、野島は良いやつだと思う、そう思える男がAを好きと分かった以上、そんな綺麗事はもう通用しなくなっていた。

一条の中で何かが切れる音がした。

・→←Episode17.5 不器用



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作者名:ひなえ | 作成日時:2022年7月11日 8時

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