MTCといろいろしたい！−群青−

91.・【麻天狼】 ページ30

「センセー！今日の昼、Aちゃんがヒプノシスマイクの実験を受けてる映像が全国で流れてて…」


最初に放送に気が付くのは一二三だが、他のメンバーは仕事中のため呼び出すことが出来ず、自分一人でも助けに行こうと思ったが、流石にスーツ着でも一人で大人数に太刀打ち出来ないと判断した彼は、もどかしさに唇を噛み、貴女が傷付く姿を悲しそうに眺める。


二人の仕事が終わった頃合いに、彼は二人に電話をかけ、放送のことを話す。
その後一二三は仕事を休み、他二人と合流し貴女の家に向かう。

ふらふらした足取りで貴女が出迎えると、三人は慌てて貴女をベッドに寝かせる。


「先生、Aは大丈夫なんでしょうか。俺が仕事を切り上げられなかった所為で、こんな羽目に…。全部俺の所為だ…俺が俺が俺が」

「独歩くん、落ち着いて。私のリリックで傷は大半は癒えたので、大丈夫ですよ。それに、彼女がここまで傷付いてしまったのは、私の所為でもあります」


真っ先に寂雷が自らのラップで治療してくれるので貴女の傷はすぐに良くなる。

彼らはすぐに貴女のもとに助けに行くことが出来なかった自分たちを責める。


「…さて、私は中王区に赴き彼女のことについて話をしてきます。一二三くんと独歩くんは、Aさんのことを頼みますよ」

「「わかりました」」


貴女が目を覚ます前に、寂雷は一人で中王区に乗り込み、一二三と独歩は貴女の身の回りの世話をしてくれる。


「Aちゃんのために俺っちたちが出来ることをやらなきゃいけねーな」

「ああ…それだけが俺に出来る唯一のAへの償いだ」


貴女が目を覚ましたときには、大喜びのおさなな二人にめちゃくちゃに抱き締められる。
と思ったらすごい勢いで片方には土下座をされ、片方には泣きそうになられる。

「すぐに助けられなくて、誠に申し訳ございませんでした！！」

「俺っちがもっと強かったら…傷を負わせることもなかったのに」


絵面がすごいことになるので、もういいよと言うと、双方最後にもう一度だけ謝って貴女と一緒に食事をする。



しばらくして寂雷が帰ってくる。

「これでAさんにはこれ以上危害を加える人は消え去りました。今までよく頑張りましたね」

と天使のような微笑みを浮かべて言われるので涙腺が崩壊する。

彼の言葉通り、貴女には平穏な日常が戻ってくる。


　

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