エイプリルフール編その1 ページ27
「その人影の正体はまさかの…!?
次回、公由決死のスカイダイビング!!彼女の運命や如何に!!?
…という小説を書いてるんだ。面白くないかい!?この後謎の組織との攻防や犯人の葛藤、事件を通じて過去と向き合う探偵社員を描くことで現代社会に潜む闇を徹底的に抉り出す傑作ノンフィクションさ!
私の読みによれば、ここ数年での一番のベストセラーになる予定だよ。
どうだい不動くん、未来の大御所作家さまのサイン、今なら大特価の一枚1000円で売ってあげようじゃないか」
美影は自分のサインを書いた色紙を両手で挟み、これ以上にないほどの笑顔で不動に差し出した。
ここが町中で、不動が美影と知り合いですらなく、彼女の内面を何も知らない状態であったのならば、その笑みの可憐さに、言葉の意味を理解する前に千円札を差し出してしまっていたかもしれない。
しかし、対する不動は同じくこれ以上に無いほどに顔を顰め、頭痛を抑えるように眉間を親指と人差し指で抓んでいる。
この反応は、正しく不動が美影神羅という女性の性格を知っているという証明でもあった。
不動自身自ら希望して知ったわけではないので、その証明は彼女にとって特段喜ばしいことではないのだが。
寧ろ少し後悔する瞬間すらある。その内面については素知らぬふりをして、彼女の表面上の幻に夢を見ていた方が幸せだったかもしれない。正直認めたいことではないが、黙ってさえいれば、同性の不動から見ても魅力的な女性である。
不動は憚ることなくため息を吐いてから、じっとりと美影を睨んだ。
「いらん。正直つっこみたい部分は両手で数えても足りないが、一つだけ聞かせろ」
「勿論だとも!この未来の売れっ子に一体何の質問かな?次回の構想?単行本化時のペンネーム?それともサイン色紙の値段の交渉かな?残念だけれど、此方としてもこれ以上の値引きは…」
不動は再びため息をついた。息とともに体力が空気中に溶けていくように感じる。まずい、こいつのペースにのせられてはならない。不動は息を整えた。
「これは一体どういうことだ?俺たちは温泉街で瀬川の冤罪を晴らそうと奮闘していたのはなかったか」
そう、不動達の現在位置は探偵社、より詳しく言うのであれば、探偵社内の会議室である。
不動が疑問を持つのも自然なことだった。
だが、美影はけろりとして言う。
「…もう、つれないなあ不動くんは。今日が何の日か知らないのかい?」
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神羅(プロフ) - 蛍火さん» すみません、もう締め切っておりまして……。それに、今は殆ど機能しておりませんので……。ボチボチ更新しなければと思うのですが、私も一応受験生でして……。すみません。 (2018年7月9日 23時) (レス) id: 57d9444f68 (このIDを非表示/違反報告)
蛍火 - お話読ませていただきました。もしも席がまだ空いているのなら、社員として、入らせていただけると嬉しい所存でございます。この小説を読もうとしたきっかけは、ラハルちゃんの紹介です。お考えの方よろしくお願い申し上げます。 (2018年7月3日 14時) (レス) id: 62a90d8188 (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 浅葱さん» 頑張ります! ちょこちょこ更新しますね (2018年3月4日 21時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - すごい、面白いです!更新待ってます!! (2018年3月3日 13時) (レス) id: 2921f40b7a (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 花園イリアさん» はい! おかげさまで突入できました! 不定期更新ですが、これからもよろしくお願いいたします(^-^ゞ (2017年5月5日 14時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
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