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「公由くん!」
「無事ですか、公由さん!」
中庭へ続く扉を開ければ、そこには一瞬目を疑うような光景が広がっていた。
庭一面に生い茂る草木、一か所に纏められた現場班の集めた証拠品の諸々、落ち着いた色の木目の浮いた旅館の壁に、休憩用の椅子。
それらは先ほどと変わらずそこに在るというのに、ただ一つだけ平素ならばこの場に存在する筈の無い物体が、中庭の空気を異質なものに変化させていた。

氷。
草木を、大地を、壁を、ベンチを、果ては空気までもを凍てつかせる透き通った氷の膜が、美影の目の届く範囲の地面を覆いつくしていた。それらの氷は、太陽光を屈折させ、辺りを美しく輝かせる。
並大抵の手段では、これほどの規模を氷漬けにはできない。この状況が公由の氷の異能によるものだとは容易に推測できた。
であるにもかかわらず、しかし美影の視界に公由の姿はない。

「これは・・・壮観だねえ」
「言ってる場合ですか!公由さんは…!?」
突如けたたましい金属音が響いた。
研ぎ澄まされた刃物同士を全力で打ち合った時の音に似ている。
美影の心の中で嫌な予感が首をもたげた。
公由は無事だろうか。
「・・・こっち!ふゆきは、たたかってる!」
何時の間にか異能を使用し廊下の壁にもたれていた楔埜が立ち上がり、先導して駆け出す。
美影と廣瀬は、その後に続いて走り出した。

どれほど走ったか、とうに中庭を抜け、山の麓のあたりまで来ても、まだ氷の原は広がっている。
「・・・あそこだ」
そろそろかと思った矢先、不意に先を走っていた楔埜が立ち止まり、そっと指をさす。
そして、その先に美影は見た。
鋭利に研がれ氷の膜に伏す無数の氷塊と、太陽光を反射してきらきらと光るそれらの間に、細く張られた糸のようにたしかな緊張感を以て相対する二つの人型の影を。

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神羅(プロフ) - 蛍火さん» すみません、もう締め切っておりまして……。それに、今は殆ど機能しておりませんので……。ボチボチ更新しなければと思うのですが、私も一応受験生でして……。すみません。 (2018年7月9日 23時) (レス) id: 57d9444f68 (このIDを非表示/違反報告)
蛍火 - お話読ませていただきました。もしも席がまだ空いているのなら、社員として、入らせていただけると嬉しい所存でございます。この小説を読もうとしたきっかけは、ラハルちゃんの紹介です。お考えの方よろしくお願い申し上げます。 (2018年7月3日 14時) (レス) id: 62a90d8188 (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 浅葱さん» 頑張ります! ちょこちょこ更新しますね (2018年3月4日 21時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - すごい、面白いです!更新待ってます!! (2018年3月3日 13時) (レス) id: 2921f40b7a (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 花園イリアさん» はい! おかげさまで突入できました! 不定期更新ですが、これからもよろしくお願いいたします(^-^ゞ (2017年5月5日 14時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神羅 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2017年4月27日 0時

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