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《其ノ壱 牛鬼》 ページ9

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あの後、茉鯉は小識(こしき)をおぶさりながら自宅を目指していた。途中で小識(こしき)が目を覚まして、訳を話すと、驚きからか目を丸くして茉鯉に謝った。小識(こしき)の家で自分の靴を足に通し、鞄を持って茉鯉は「また明日」と手を軽く振ってその場を去っていった。小識(こしき)は微笑んで手を振っていたが、足早に自宅へ向かう茉鯉を冷たい視線で見ていたことに、茉鯉は気付きもしなかった。




◆❖◇◇❖◆❖◇◇❖◆❖◇◇❖◆




からからと小気味良い音がなって戸が右に動く。温かな照明の光が漏れてきて、祖父がいることを察した茉鯉は叱られる心構えをする。


「…茉鯉、どこへ行っておったんじゃ?」


優しいが、微かな怒りが滲んだ語り口が茉鯉の耳に届く。


「お、おじいちゃん…」


体を強張らせる茉鯉。すぐさま頭を下げると、茉鯉の頭には謝罪の言葉が浮かんだ。


「ご、ごめんなさい。えっと、近くの神社に行ってたの!」

「近くの神社?」


顔を傾ける祖父の姿に焦燥感を感じながらも今日あった出来事を信じてもらえない覚悟で述べた。




◆❖◇◇❖◆❖◇◇❖◆❖◇◇❖◆




蒸し暑い風が自宅の縁側を制していた。夜になっても変わらぬ温度には相変わらず嫌気がさしてしまいそうだが、薄い雲をも突き通し、煌めく星空を見て茉鯉は夏も案外悪くないと思った。隣で茶を呑んで一息を吐いた祖父が口を開く。


「…そうか、そげんことがあったのか。近くの神社ということは、鬼怒神社(きぬじんじゃ)に行っておったのか」


茉鯉は十四年間生まれ育った杵築町(きつきちょう)の事を大抵知っていると思っていたが、まだまだ杵築町(きつきちょう)には知らないことが沢山ある。そう思うと、杵築町(きつきちょう)に対して興味が湧いてきてしまう。


「ねえ、おじいちゃん。鬼怒神社(きぬじんじゃ)には何か歴史とかあるの?」


祖父はずっと杵築町(きつきちょう)から離れず、町一番と言っても過言ではないほどに杵築町(きつきちょう)の歴史を知り尽くしていた。茉鯉は自分の住む町の昔話を祖父の口から聞くことがたまらないほどに好きだった。


「茉鯉は、鬼神(おにがみ)という存在を知っておるか?」


祖父の質問に茉鯉は首を横に振る。祖父は湯呑みに口をつけ、茶を飲んで言葉を続けた。



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設定キーワード:和風 , オリジナル , 怪奇物   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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いふ(プロフ) - 幻想作家さん» アドバイス感謝いたします…!私は昔の言葉に弱いので、そういうアドバイスなどは大変ありがたいものです!応援誠に感謝いたします。これからも学びながら書いていくのでお見苦しい所があるかもしれませんが、頑張らせていただきます! (1月17日 22時) (レス) id: ca7a82974a (このIDを非表示/違反報告)
幻想作家 - 指慣らしはフィンガースナップといいますが和風なら「指を鳴らす」だけで大概は伝わるでしょう。オリジナルでここまで細かく面白いものは中々作れないと思います。ブックマークするので頑張ってください。 (1月17日 20時) (レス) id: ab3b389dea (このIDを非表示/違反報告)
いふ(プロフ) - 人見さん» ぴ゛ゃ!?コメントいただくとは思っても見なかったのでリアルで変な声が出てしまいました…。ご感想ありがとうございます!マイマイ並みの更新速度ですが、頑張らさせていただきます!! (1月14日 16時) (レス) id: ca7a82974a (このIDを非表示/違反報告)
人見(プロフ) - 「〜しやがれ」とか些細な表現がコミカルで面白いです!更新頑張ってください!応援しています (1月14日 13時) (レス) id: 882ef10c58 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いふ | 作成日時:2021年1月5日 17時

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