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《其ノ壱 牛鬼》 ページ5

. 一文ほど流血表現含みます。



黄昏が崩れ、夜がかすかに見えはじめる。【深山(みやま)】と書かれた表札を視界に捉える茉鯉(まつり)深山(みやま)という苗字をはっきりと鮮明に覚えている。

軽く咳払いをして、呼び鈴を押した。聞き覚えのある音が呼び鈴から流れるが、それ以外は何も聞こえない。少し不信感を抱き、もう一度呼び鈴を鳴らす。


「ごめんください、私です。西来 茉鯉(にしき まつり)です。小識(こしき)のお見舞いに来たんですけど…」


小識(こしき)とは、茉鯉(まつり)の友人であり、茉鯉(まつり)は今日学校で休んだ分の印刷用紙を小識(こしき)に届けに来たのだ。小識(こしき)はいつでも家に居るから来てと行っていたのだが、いつまで経っても返事は返ってこない。


「あれ…?」


ふと門口に目をやると、玄関の戸が僅かに開いていた。何故だか肝が冷え、茉鯉(まつり)は足音を立てず慎重に戸の前に立った。引手に手をかけて、そっと戸を引いた。からり、からりと小気味よい音が鳴った。

くたびれており、長く続くほのかに薄暗い廊下。地を覆う木目の床は、歩く度に軋む音を廊下に響き渡させる。廊下には調度品などは置かれておらず、いつ来ても殺風景な廊下であった。


小識(こしき)ー?どこ…きゃあっ!?」


床には目もくれず、辺りへ視線を飛ばしていると、床に何かが敷かれてあったのか、体を逸らすが景色が転がった。転ぶ、と思った瞬間にはもう地面が目の先に広がっていた。顔をぶたれるような衝撃があり、顔をしかめる。右肘に痛みがとどまり、左手で軽く撫でようとしたときにそれが茉鯉(まつり)の視界に入った。

視界に入ったのは、赤。手のひら、それから転んだ地点の少し先にある、血溜まり。

均等な間を置いて、足音が響く。茉鯉(まつり)の視野の上の方に足が映る。息を止め、茉鯉(まつり)は下から上へ。顔を昇らせる。血溜まりの前で、佇む女。その女の手には血塗れの包丁が握られていた。顔を俯かせており、表情は伺えない。指先から、体のそこら中にまで恐怖による震えが広がり、茉鯉(まつり)の背筋に冷たい汗が伝う。

女が茉鯉(まつり)を目掛けて振りかざそうと包丁を上に上げた。


「っ!!」


床に手のひらをつけて茉鯉(まつり)は無理矢理に立ち上がった。



.

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設定キーワード:和風 , オリジナル , 怪奇物   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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いふ(プロフ) - 幻想作家さん» アドバイス感謝いたします…!私は昔の言葉に弱いので、そういうアドバイスなどは大変ありがたいものです!応援誠に感謝いたします。これからも学びながら書いていくのでお見苦しい所があるかもしれませんが、頑張らせていただきます! (1月17日 22時) (レス) id: ca7a82974a (このIDを非表示/違反報告)
幻想作家 - 指慣らしはフィンガースナップといいますが和風なら「指を鳴らす」だけで大概は伝わるでしょう。オリジナルでここまで細かく面白いものは中々作れないと思います。ブックマークするので頑張ってください。 (1月17日 20時) (レス) id: ab3b389dea (このIDを非表示/違反報告)
いふ(プロフ) - 人見さん» ぴ゛ゃ!?コメントいただくとは思っても見なかったのでリアルで変な声が出てしまいました…。ご感想ありがとうございます!マイマイ並みの更新速度ですが、頑張らさせていただきます!! (1月14日 16時) (レス) id: ca7a82974a (このIDを非表示/違反報告)
人見(プロフ) - 「〜しやがれ」とか些細な表現がコミカルで面白いです!更新頑張ってください!応援しています (1月14日 13時) (レス) id: 882ef10c58 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いふ | 作成日時:2021年1月5日 17時

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