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《其ノ弐 狐憑き》 ページ19

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突然現れた氷雨は古采(こと)の叫び声に肩を揺らしたあと、眉を下げた。


「そんなに驚くとは思ってもいなかった。そこは普通にすまん」


氷雨の赤い瞳には後悔が滲んでいる。それを見かねた古采は慌てて両手を小さく左右に振った。先ほどから、古采は手の仕草がやけに多い。そこまでしなくとも、古采は表情筋が柔らかいのだから、表情で伝わるのではないだろうか。茉鯉の心中でそんな疑問が飛び交う。疑問を振り払うように氷雨は軽く咳払いをして話を続けた。茉鯉も古采も氷雨に意識が向き、氷雨へと視界を移した。


「それで、狐の話だが、もうなにか既に周りに妙なことが起きてるのではないか?」


古采が顎に手を当てて考える仕草をする。


「…いえ、何もありませんね。すみませんが、私はそういう部類の話を信じない者でして。失礼致しますね」


古采は一度会釈をして、踵を返した。淡い黄色で染められたゆるやかな髪はふわりと動く。規則的に靴の擦れる音を鳴らしながら、古采はその場を立ち去った。茉鯉は頬に冷や汗をかいていた。古采に纏う不思議な雰囲気。そして、横から見る古采の顔は先ほどの優しい顔立ちはなく、冷美の表情をしていた。例えで挙げるならば、悪巧みをしている狐。そんな表現の仕方が一番正しいような気がした。

氷雨は一度も振り返らずに去る古采に鋭い目つきで睨んでいた。眉間に寄せていたしわを緩めて、茉鯉を見据える。いつも見る氷雨の顔であった。氷雨は古采に送りつけていた眼差しとは反対に、目を細める。


「にしても、まさかお前が神社に人を連れてくるとは思いもしなかったな」


氷雨の発言に茉鯉は小首を傾げた。茉鯉がその話に興味を持ったことが伝わったのか、氷雨は人差し指で縁側を指した。


「今茶を持ってくるからいつものところに座っておけ」


茉鯉はこくりと一つ頷いて縁側へ向かった。



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設定キーワード:和風 , オリジナル , 怪奇物   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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いふ(プロフ) - 幻想作家さん» アドバイス感謝いたします…!私は昔の言葉に弱いので、そういうアドバイスなどは大変ありがたいものです!応援誠に感謝いたします。これからも学びながら書いていくのでお見苦しい所があるかもしれませんが、頑張らせていただきます! (1月17日 22時) (レス) id: ca7a82974a (このIDを非表示/違反報告)
幻想作家 - 指慣らしはフィンガースナップといいますが和風なら「指を鳴らす」だけで大概は伝わるでしょう。オリジナルでここまで細かく面白いものは中々作れないと思います。ブックマークするので頑張ってください。 (1月17日 20時) (レス) id: ab3b389dea (このIDを非表示/違反報告)
いふ(プロフ) - 人見さん» ぴ゛ゃ!?コメントいただくとは思っても見なかったのでリアルで変な声が出てしまいました…。ご感想ありがとうございます!マイマイ並みの更新速度ですが、頑張らさせていただきます!! (1月14日 16時) (レス) id: ca7a82974a (このIDを非表示/違反報告)
人見(プロフ) - 「〜しやがれ」とか些細な表現がコミカルで面白いです!更新頑張ってください!応援しています (1月14日 13時) (レス) id: 882ef10c58 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いふ | 作成日時:2021年1月5日 17時

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