占いツクール
検索窓
今日:11 hit、昨日:26 hit、合計:2,919 hit

《其ノ壱 牛鬼》 ページ2

.



蒸し暑い一陣の風が、亜麻色(あまいろ)の髪を撫でた。


「…あっつい」


朱色一色に染まった黄昏はそう易々と他の色に染まる気配はない。
だからこそとっとと日よ沈みやがれと願う少女。


「お茶、あったっけ」


左肩にかけている鞄に手を伸ばし、筒状のものを探る。冷たさをまとう筒状のものが少女の指に掠った。やはり、水筒だけは人類の味方だ。見慣れた水筒を見据えて、蓋を開ける。
口をつけて水筒を逆さまにするが、口に茶が垂れ流されてくることはない。
静かに水筒から口を離す。


…あ、そういえば体育の時にお茶はお亡くなりになったんだった。


思い出して眉を下げ、静かに苦笑する。まだ残っていると信じていた純粋な気持ちを返しやがれと思いながらも自宅へ歩を向ける。自身の靴の擦れる音と蝉しぐれだけが響いて、この夏に対する嫌悪感が増してしまった。

早く家に帰りたい。そう思ってはいるが、自宅への道のりはまだまだ先であった。少女はどこか日陰で一休みしたいと思い、視線を散らばせて日陰を探す。だが夏を嫌った罰とでも言うように、どこも黄昏の日差しが遠慮なく差し込んでいて、とても休めそうには思えない。肩を下げて辟易する。

そんな少女の視界に、ふと石の階段が目に入った。
漆喰(しっくい)の壁で造られた家屋が並ぶ中、そこだけまるで異なる空間のように木々で隠された石の階段。連なる背の高い木々からは耐えかねている陽の光を遮ってくれる木陰がある事を容易に想像できた。意識が引っ張られるかのように、少女は石の階段を登った。



道行く人々が、まるでその神社が存在しない様に気づいていない事も、暑さのためか少女の目には止まらなかった。



.

《其ノ壱 牛鬼》→←《其ノ壱 牛鬼》開幕



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
15人がお気に入り
設定キーワード:和風 , オリジナル , 怪奇物   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

いふ(プロフ) - 幻想作家さん» アドバイス感謝いたします…!私は昔の言葉に弱いので、そういうアドバイスなどは大変ありがたいものです!応援誠に感謝いたします。これからも学びながら書いていくのでお見苦しい所があるかもしれませんが、頑張らせていただきます! (1月17日 22時) (レス) id: ca7a82974a (このIDを非表示/違反報告)
幻想作家 - 指慣らしはフィンガースナップといいますが和風なら「指を鳴らす」だけで大概は伝わるでしょう。オリジナルでここまで細かく面白いものは中々作れないと思います。ブックマークするので頑張ってください。 (1月17日 20時) (レス) id: ab3b389dea (このIDを非表示/違反報告)
いふ(プロフ) - 人見さん» ぴ゛ゃ!?コメントいただくとは思っても見なかったのでリアルで変な声が出てしまいました…。ご感想ありがとうございます!マイマイ並みの更新速度ですが、頑張らさせていただきます!! (1月14日 16時) (レス) id: ca7a82974a (このIDを非表示/違反報告)
人見(プロフ) - 「〜しやがれ」とか些細な表現がコミカルで面白いです!更新頑張ってください!応援しています (1月14日 13時) (レス) id: 882ef10c58 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いふ | 作成日時:2021年1月5日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。