◎:星になる ページ4
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「オリオン座って切ねえよな」
「は?」
「だって好きな女に殺されんだよ?」
「……え、なに調べたの?」
「うん」
帰り道。冬の夜空を仰ぎながら何を言い出すかと思いきや、どこかのポエマーのように淡々と述べた。7つの星が煌びやかに耀き、暗闇を照らす。マスクをしてもマフラーをしても寒さ凌ぎなんて出来っこない。冷え切った頬が空を見上げた。
「すっごい綺麗」
「もっと他に表現できねえの?」
「え、なに、うるさ」
「あんな顔していろいろあったんだよオリオンは」
「……はいはい」
まだ続けるか。……あんな顔ってどんな顔だよ。オリオン座の神話については、だいぶ前にテレビで見た覚えはある。諸説あるけど紫耀は一体何を調べたのか。随分とオリオンの肩持つじゃん。
「Aの兄ちゃんと仲良くて良かったわまじで」
「ねえ、ほんとにさっきから意味が分かんない笑」
「でもAになら殺されてもいいわ」
「今度はなに?怖いんだけど」
「で、星になる」
「……ねえ聞いてる?」
「ん?」
勢いよく右手を繋がれてそのまま紫耀のダウンジャケットのポケットに収まった。左手の薬指の指輪がゴツゴツと当たって痛い。咄嗟に横顔を見上げたらヒールで少しだけ近づいた身長も意味を成さない。紫耀の厚底ブーツによって更に目線が遠のく。愛する人を自分のせいで死なせてしまったアルテミスはどれ程の計り知れない後悔をしたのだろうか。
「紫耀、」
「ん?」
「死なないでね」
「死ぬ以外はなんでもしてあげる」
絶対だよ、ゼウス。
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まきこ(プロフ) - 全部のお話すごく好きです!!甘えてくれる紫耀くん可愛すぎますね!またいろんなお話読めるの楽しみにしてます^ ^ (2021年2月14日 8時) (レス) id: cfbbd37a93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:詠夢 | 作成日時:2021年2月7日 1時