小指:夏代孝明 ページ35
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それを俺が知ったのは、1年くらい前のことだった気がする。
「…なんで、小指だけ塗ってんの?」
「これね、ジンクスなんだよ。」
妹の指、しかも小指だけにピンクのマニキュアが塗られていた。色が色だけに結構気になって、普段なら気にしないけど。
「ジンクス?」
「告白成功率が上がるっていうジンクス。」
少し頬を染めながら嬉しそうに話す妹に、は!?告白すんの!?って慌てたことは覚えてる。
それから1年。きれいさっぱり、そんな話をしたことは忘れていたのにふと思い出した。それは、片想いしている相手の小指にだけピンクのマニキュアが塗られていたから。
あ、でも、何か続き言ってたけど何だったかな…。…告白、するのかな。なんて、その日1日ずっと目で追ってた。
「夏代さん、夏代さん。」
「あ、はい!」
「珍しいですね、何かいい曲思い浮かんでましたか?」
そういって、笑うその顔が好き、なんて本人には言えず飲み込んで。何でもないです、なんて笑顔を張り付けた。
「それで、どうかしましたか?」
「あ、えっと、その…明日、お仕事終わってから良ければご飯にでも行きませんか?」
「いいですよ。」
良かった、と笑うその笑顔にずきりと胸が痛んだ。その笑顔を、隣で見れるやつが現れるんだって思うと悔しい。
ご飯を食べて、送ります。なんて駅に足を向けると上着の裾を引っ張られた。驚いて、振り向いた。
「夏代さん、」
「はい、」
「…好きです。」
…そのとき思い出した。妹の言葉の続き。
_____告白成功率が上がるっていうジンクス。告白する前日にするといいんだって。
「…夏代さん?」
「俺も、好きです。…びっくりした。昨日、小指見て、失恋したなって思ってて。」
「え、あのジンクス知ってるんですか!?」
恥ずかしい、と顔を赤く染めた彼女が可愛くて思わず抱きしめた。
ピンクの小指。
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蒼(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます!!好きだと言っていただけてテンション上がってます!ゆきさんもお身体にはお気をつけてくださいね! (2018年12月3日 8時) (レス) id: 6ff2611221 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - スイ(さぶ)さん» 分かりました。坂田さんですね!せっめいありがとうございます、助かります。早めに書き上げられるよう頑張ります! (2018年12月3日 8時) (レス) id: 6ff2611221 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - こういう短編好きです…!!(ほとんどコメントしたこと無いので、ちゃんとした日本語になってるか心配です) 読んでて楽しいので、次も楽しみにしてます!! 寒くなってきてるので、お身体には充分お気をつけください…!応援してます!! (2018年12月2日 18時) (レス) id: e3b7ecda00 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(さぶ)(プロフ) - ありがとうございます!!坂田さんで、試験前の勉強会をしてて途中で告白する…みたいなのって可能でしょうか…。語彙力なくてすみません。幼馴染だとかの設定は作者様が書きやすいようにして頂いて全然大丈夫です!よければお願いします… (2018年12月2日 0時) (レス) id: 9fca0c060a (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - スイ(さぶ)さん» 楽しんでいただけて凄く嬉しいです!ぜひぜひお楽しみください(あってるのか?)リクエスト嬉しいです、いつでも受け付けております!お待ちしています。 (2018年11月29日 22時) (レス) id: 6ff2611221 (このIDを非表示/違反報告)
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