Colors 【短編集】

動物:夏代孝明　１ ページ19

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　「かわいい…。」

　毎日、歩く通学路にあるペットショップ。ガラス越しに犬や猫がいて、つい足を止めてしまう。学校が夏休みに入って、一週間ぶりくらいに前を通ったら暑くなるまではいなかった猫が１匹増えていた。暑くて、汗が流れるのに、思わず見てしまう。

　「夏代くん…？」

　「あ、」

　名前を呼ばれて、猫から視線を移すと去年のクラスメイト。麦わら帽子を被って、買い物帰りなのか袋を腕に下げていた。

　「あ、猫見てたの？可愛いよね、そのこ。」

　そういって指差したのは俺が見ていた猫で。

　「よく、分かったね。」

　学校で動物が好きだと言ったことはあるけど、犬と猫どちらが好きかなんて言ったことないのに。



　「だって、夏休みに入ってから新しく入ったこ、そのこだけだから。」

　「詳しいね。」

　そんな俺に少し驚いた顔をしてからクスクスと笑いを漏らした。

　「そっか、夏代くん知らないのか。ここ、私の家なの。」


　良かったら中までどうぞ、と誘われて恐る恐る彼女の後ろについて初めてドアをくぐる。

　「あら、知り合いなの？」

　「同級生。去年は同じクラスだったの。」


　ごゆっくり、とカウンターのところに座って微笑んだ顔は親子ってすぐに分かるくらいそっくりで、ありがとうございます、とするりと言葉が出た。

　中には外からは見えないこたちが沢山ゲージに入っていて見とれてしまう。みんなかわいい。


　「夏代くん、これ。熱中症予防に。」

　「あ、ありがと。」


　涼しげなグラスに入った氷と麦茶。はい、と差し出されたそのグラスを溢したりしないように気を付けながら受け取った。

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