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160.思い出の太鼓橋 ページ10

「兄上、どちらへ?」

「花屋に用事があってな!すぐに戻る!」

「そうですか!

 兄上、あの…兄上はもう大丈夫な…」


「ん?すまない!支度をしていてよく聞こえなかった!

 どうした?」


 千寿郎はAの訃報を聞いてから元気がない。

 それも無理はないだろう。

 本当の姉のように彼女を慕っていたのだから…


 俺は優しく千寿郎の頭を撫でた。


「千寿郎、辛い思いをさせてしまったな。

 今夜は久しぶりに一緒に寝よう!
 
 たまには兄弟で語らうのも良いだろう?」


「はい…!」



 煉獄家を出ると、俺は花屋を目指して歩き始めた。


 Aが空へ消えてしまってから数週間が経った。

 彼女の訃報は鬼殺隊本部へ知らされ、

 交流のあった隊士たちは酷く落ち込んだ。



 赤い太鼓橋の上に差し掛かった時、

 Aと初めて任務を共にした夜のことを思い出した。


 あの日もこの橋の上にいたな。


 川を流れる水が綺麗で、

 少しだけ橋から身を乗り出して見入ってしまった。


 すると突然、「ちょっと待って!!」と、

 大声を上げた男性に背後から引っ張られてしまった。


「兄ちゃん!!早まるな!!

 大丈夫!!大丈夫だからな!!」


 必死な形相で俺にそう言う男性は、息を荒げていた。


 まさか、俺が身を投げ出すと思って止めてくれた…?


「どうやら勘違いをさせてしまったようで申し訳ない!

 俺は川を覗いていただけで、

 決して身を投げ出そうとしていた訳ではありません!」


「ん!?なんだ!そうだったのか…

 いやあ、焦ったよ。」


 手ぬぐいで汗を拭く男は安心したように笑った。


「実はさ、俺、前にこの橋から飛び降りて

 死んでしまおうと思った時があったんだ。」


「そうなのですか?」


「ああ。勿論、今はそんなことしないけどよ。

 俺が橋から身を乗り出した時、

 一人の姉ちゃんがものすごい必死な顔をして駆けてきて、

 思いっきり後ろに引っ張り込まれたんだ。」


 なるほど。この方を止めた女性がいたのか。


「俺はさ、嫁さんを若い時に亡くしていて、

 一人で二人の子どもを育てていたんだ。

 その当時の俺は絵描きとして鳴かず飛ばずでさ…

 何もかも嫌になっていたんだけど、

 その姉ちゃんが親身に話を聞いてくれて、

 俺の絵を褒めてくれたんだよな。」


 彼は懐かしむように空を見上げる。

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» 最後までお付き合いいただき、感謝申し上げます。主人公に感情移入し、物語に入ってもらってこそ、この小説の醍醐味と思い作っていたので、大変光栄です!あたたかいコメントにいつも励まされておりました。ありがとうございました! (7月16日 7時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 読了が遅くなりました。お疲れ様でした。長らく愉しませて頂きました。現し世でなくても、ハッピーエンドとは!こういう纏め方もあるのかと感心です。彼女の気持ちに入り込んでいたため、逢いたいけど早いよと涙しました。 (7月15日 16時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます!起承転結の「転」は恐らく読者様の予想を超えるものになってしまったかもしれません。しかし、美桜さんのように嬉しいお言葉をいただけると、作者として本当に幸せです♡最後まで読んでくださり、ありがとうございました! (7月10日 15時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 完結おめでとうございます。途中思わぬ展開に驚きましたが、最後は悲しさもあるけれど、なんだか暖かな気持ちになりました。あとがきの狐姫様の言葉に色々と考えるきっかけになりました。次の作品も楽しみにしています。素敵な作品をありがとうございました♡ (7月8日 21時) (レス) @page50 id: 4bde5e03bb (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん!感動したと言っていただき、大変光栄です♡完結まで書けたのも、エリスさんをはじめ、応援してくださる読者様のお陰です!感謝申し上げます!番外編、新作等でもまたお会いできると嬉しいです(*˙˘˙*) (7月8日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年6月12日 13時

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