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159.幻でも構わない ページ9

 朧げに見えたAは、

 俺の隣、同じ布団の中にいる。


 彼女は何も言わずに静かに微笑んでいた。


 幻か…それでも良い。

 君の隣で眠れるのなら、それが触れられぬ幻でも構わない。


「A、俺の夢の話を聞いてくれるか?」


「夢の話?聞きたい。」


「この世から鬼を滅すること。

 人々が安心して暮らせる世を作ること。」


「うん。杏寿郎らしいね。必ず叶えられるよ!」


 彼女は目を細めて笑った。


「もうひとつ…

 Aとご飯を食べること。

 共に寝ること。

 並んで桜を見ること。

 あの丘で見た花火をまた君と見ること。

 


 Aと結婚すること。」




「ひとつじゃない…」


 Aは困ったように微笑んでいた。


「俺はこの夢を叶えたい…

 叶えられると言ってはくれないか?」


 彼女は口を閉ざして、ただ、ただ、涙を流している。


「叶えたいのだ…」


 Aを抱き寄せようとした時、

 視界が鮮明になって俺は目を覚ました。


 掴んでいたのは敷布で…

 そこには無論、彼女の姿はなかった。



「幻でも良いと言ったのは自分なのにな。

 やはり…君に触れたい。触れたい…」




 生きていれば、辛いこともある。

 勿論、反対に幸せなことだってたくさんある。



 しかし、人は幸せな時は気づかないのだ。

 それがどれだけ尊いことなのか。

 永遠に続くことを信じて疑わない。


 君との時間を無下にしたことは一度もないと

 胸を張って言える。何より大切にしてきた。

 その自信はあるのに…

 それでも、もっと一分一秒でもそばにいられたのなら…

 と、思ってしまう自分もいる。



 

 明日からは任務が始まる…

 そろそろ切り替えないといけない。

 柱として自分のすべきことはしっかりと果たす!

 母とも約束したのだ。



 Aの想いも俺の刃にのせて…

 必ず憎き悪鬼を滅殺する。
 


 A、空から見ていてくれ。

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - 小鈴さん» 感想ありがとうございます!最後までお読みいただき光栄です。物語は読んでもらってこそ生きるものだと私は思うので、この作品を見つけてくださり、そして読んでくださったこと、本当にありがとうございます! (2022年11月15日 18時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
小鈴(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございました。途中からずっと、涙なしでは見られませんでした。この作品の主人公と煉獄さんに出会えて本当に良かったです! (2022年11月14日 22時) (レス) @page50 id: 97399e389e (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 最後までお付き合いいただき、感謝申し上げます。主人公に感情移入し、物語に入ってもらってこそ、この小説の醍醐味と思い作っていたので、大変光栄です!あたたかいコメントにいつも励まされておりました。ありがとうございました! (2022年7月16日 7時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 読了が遅くなりました。お疲れ様でした。長らく愉しませて頂きました。現し世でなくても、ハッピーエンドとは!こういう纏め方もあるのかと感心です。彼女の気持ちに入り込んでいたため、逢いたいけど早いよと涙しました。 (2022年7月15日 16時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます!起承転結の「転」は恐らく読者様の予想を超えるものになってしまったかもしれません。しかし、美桜さんのように嬉しいお言葉をいただけると、作者として本当に幸せです♡最後まで読んでくださり、ありがとうございました! (2022年7月10日 15時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年6月12日 13時

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